おぼへ書き

RPGとアドベンチャーゲームとTCGと卓球と白雪千夜が好き。

2021年にプレイしたゲームの紹介・感想

Aランク<心に残り続けるであろう傑作>

1位.天ノ少女(Windows(R18) / 2020年発売)

www.gungnir.co.jp

ゲーム紹介

戦後の昭和を舞台としたミステリーアドベンチャーゲーム。前作の”殻ノ少女""虚ノ少女"からなる三部作の最終作。

主人公は探偵。婚約者が連続殺人の犠牲になった事をきっかけに警察官を辞め、その犯人を捕まえるため、そしてその犯人が伝染させた狂気の連鎖を終わらせるべく"殻""虚"に続いて猟奇殺人事件を追う事になる。

パラノイアという言葉がシリーズのキーワードとなっていることもあり、狂気に囚われた人間や凄惨な変死体などが頻繁に出てくるので三作通じて陰鬱とした雰囲気で物語は進んでいく。

推理部分は本格的な推理ゲームほど込み入っておらず、一般的なアドベンチャーゲームと同じように選択肢を選びながら進めていく流れがメインであり、難易度はそれほど高くない。ただし要所要所では2~30ある証拠品や人物リストから組み合わせで回答を選ばないといけない箇所があり、総当たりではなく頭を使わないと進めないようになっている。

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こんな感じで手帳を見ながら推理するパートが何回もある

アドベンチャーゲームとしては珍しくもないマルチエンディング方式だが、選択肢を間違えると事件の全貌が明かされないエンドとなったり、重要人物が死んでしまってバッドエンドになったりと、一般的なギャルゲーのようにヒロインによって物語が分岐するのではなくあくまで事件の捜査状況によってのみ物語は分岐していく。

感想

・シリーズ完結作として最高のカタルシス体験を味わえたストーリー

ストーリーは本当に面白かった。「え?ここからどうなるの?まだ終わりじゃないのか?…まだか?まだか…え?まだ続くの?」という感じで最後の最後まで楽しませてくれた。

前作の"殻""虚"では結末がかなり悲惨であったことから、続きが気になりつつも次作ではこれ以上の悲劇が起きるのでは?と怖怖と過ごしていたが、理想に近い終わり方だったので非常に満足。

オーラスエンドの最後では全ての始まりのシーンとリンクするかなり憎い演出で締めくくられており、これまでの悲惨な物語からの解放感、そして一作目をプレイしてからの思いが溢れてきて少し泣いてしまった。

前作までのエンドもおそらくこの結末を計算してのものだったと思うが、これ程すっきりと気分の良い読後感を味わえる作品は久しぶりだった。

・美しいグラフィックと音楽

本作は絵画がストーリーの主軸となっているためなのか、これまでの前二作とは違って水彩画のようなタッチでCGが描かれている。一枚一枚がとても美しくそしてどこか儚げな雰囲気を持っていて、度重なる離別によって疲弊している主人公や、退廃的な世界観にとてもマッチしているように思う。

音楽もとても良かった。シリーズ通してだが主張していないのに耳に残るというアドベンチャーゲームとしてちょうどいい塩梅の音楽。だけどオーラスエンドの曲は…もう感動…

・肩透かしの展開

これは残念な点になるのだが、散々引っ張った謎が実は大したことが無かったという肩透かしの展開がいくつもあったのは少し不満だった。

殺人事件を捜査している中でいかにも意味ありげな謎が出てくるのだが、それが偶然解決した上に実は事件には直接関係なかったり。

前作の”虚”のラストでとある重要登場人物が失踪したのだが、前作で残った最大の謎であったその人物の行方や目的が、かなり拍子抜けする内容だったり。

推理ゲームとして色々考えていたただけに、これは少し萎えた。本当はもっと大きな展開にするはずだったのに途中で放棄した…というのは流石に考えすぎだろうか。

総評

雰囲気がとにかく自分の好みのど真ん中だったので大好きなシリーズ。

これまでの2作も面白かったが、一番を挙げるならこの天ノ少女。本作はこれまでの悲しい展開に心痛めたプレイヤーに対するご褒美とも言える内容になっており、最終作としての物語の締め方が本当に良かった。

前作の発売から約8年弱、一時は完結されるのか懐疑的になったこともあったが、待っていて良かったと思える作品だった。

 

2位.白昼夢の青写真(Windows(R18) / 2020年発売)

laplacian.jp

ゲーム紹介

少し変わった構成のアドベンチャーゲーム

ゲームが始まるとまず特に説明無く

・現代が舞台の、シリアスな愛憎劇(CASE-1)
・中世が舞台の、身分を超えた純愛悲劇(CASE-2)
・近未来が舞台の、ギャグありの青春会話劇(CASE-3)

という3本の全く異なるストーリーをプレイする事となる。

しかしオムニバス形式のゲームかと思いきやそういう訳ではなく、それら3本のストーリーは全てとある人物が見ている夢であるという事が途中で示されており、全ての夢を見終わった後、夢を見ていた人物の正体は誰?何故夢を見ていたのか?夢に出てきたヒロインの見た目が似ているのは何故?…と言った謎を本編ストーリー(CASE-0)で解き明かしていく…という構成になっている。

CASE-0はこれまでのエピソードとは全く異なる雰囲気のSFストーリーで、いわゆるセカイ系という奴。令和にもセカイ系が生まれているのにはなんというか感動すら覚えるが、エヴァが終わってもセカイ系は生まれていくんだろうなぁ。

感想

・ストーリー:CASE-1~3

特にCASE-1が一番良かった。
設定的には3つのCASE中一番地味だと思っていたが、教師と生徒の禁断の関係(しかも2X歳差)、昼ドラ顔負けの愛憎劇、次第に狂わされていく主人公、などとかなり見どころが多くて終始続きが気になりプレイの手が止まらなかった。加えてこのシナリオはこちらの予想(いわゆるお約束展開)を裏切るようなシーンが多々あったのが痛快で好きだった。
CASE-2,3もCASE-1程では無かったが作品全体を通して単純に文章や物語構成が上手くてどのシナリオも面白かった。ロープライスの単作で出しても全然評価されたレベルだと思う。

・ストーリー:CASE-0

とにかく伏線とその回収に尽きる。

序盤から巧妙にいくつもの伏線が張られており、後半でそれが一気に繋がってきた時はそういう事だったのか…!と強く感動したのを覚えている。

このゲームが格好いいのは、そういった多くの伏線回収についてゲーム内では一切そのことに触れなかった所。ゲームによっては伏線回収時に回想シーンを挟んだり、「そうか、だからあの時…」みたいな解説セリフを入れたりするが、それは気付いていないプレイヤーに気付かせることができる反面、気付いている側からすると諄いと感じてしまう。それだけ自信があったのかこだわりがあったのかわからないが、演出に無駄が無く綺麗に纏まっていた。

正直、00年代からのオタクである自分は「いまさらセカイ系か、正直やや食傷気味だなぁ」とかなり思ったが、話が面白かったのでプラマイで微プラスぐらいの評価。

・登場人物の少なさ

一番の不満点はサブキャラクターが少なすぎる事。
各シナリオともキャラクターはストーリーを回すための最低限の人数しか登場しない。

人との交流が少ないCASE1,3あたりはまだいいのだが、CASE0や2ではその違和感が顕著に出てくる。
地の文では人が大勢いることが表されているが台詞が表示されるのは精々1人(か2人)なので、本当はもっと人が多くて賑やかなんだろうが、すごく人が少なくて寂しい世界のように感じてしまう。

総評

色々書いたが結局はCASE-1のヒロインの凛ちゃんが可愛かったことが最大のハイライトだったかもしれん。

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可愛いね

 

Bランク<プレイしてよかった良作>

3位.ラングリッサー ドラマティックエディション(SS / 1998年発売)

ゲーム紹介

PS1でリリースされたシミュレーションRPGラングリッサーI&II」をセガサターンに移植し、新たなルート分岐を追加した作品。*1

ストーリーは手にした者に無限の力を与えると言われている聖剣ラングリッサーをめぐって繰り広げられる争乱の物語。「I」は一本道だが、「II」では選択次第で大きく分けて6種類のルートに分岐するマルチシナリオとなっている。この時代のRPGの中ではボイスもかなり喋る方であり、物語の要所要所ではセル画のアニメムービーが挿入されるなど、演出も凝っている。

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セガサターンなので画質は良くないがアニメが流れる

美少女キャラが前面に押し出されている見た目に反してかなり硬派なSRPGで、歩兵・槍兵・騎兵などのユニットごとの相性や、地形による有利不利、中心となる指揮官ユニットとそれをサポートする傭兵ユニットの配置関係などを緻密に考えないと序盤でもあっさりゲームオーバーとなる。マップクリア制システムの為レベル上げによる強引な突破も不可能であり、経験値配分も考えながら進めていかないと場合によっては途中で詰んでしまうことも。*2

また、エンディングではクリア時点で自軍に所属するユニット全員にそれぞれその後どういう人生を送ったかというエピローグが語られるのだが、一度でも倒されたユニットはその内容がバッドエンドとなってしまうので、全員グッドエンドを目指そうと思うともっと難しい。その分やり応えは十分。

感想

・やり応え十分の戦闘

前述したようにこのゲームは結構難しかったが、難しいと言っても運要素や初見殺し的な理不尽さがある訳では無く、しっかり考えればクリアできるようになっているので攻略しがいがあった。

例えばIの再序盤で主人公達よりもパラメータが一回り強い敵軍の幹部と戦闘するステージがあり、初めは負けイベだと思ったくらい圧倒的にやられてしまったのだが、何度かトライした結果傭兵を囮にして敵を弱い地形に動かしてから相性のいいユニットで取り囲んでやれば意外にあっさり倒せたりしてなるほどよくできているなと思った。

その後も遠距離魔法を使うユニットに集中砲火されるステージや、味方ユニット同士が分断されるステージなど厄介なステージは沢山あったが、詰め将棋的な感じでクリアするまでの戦略を考えるのが楽しく、2作合わせて100ステージ弱あったにもかかわらず最後までダレることなくクリアできた。

・全く異なる展開が楽しめるマルチシナリオ(Ⅱ)

ラングリッサーⅡは下記の勢力が三つ巴で争いあう物語となっている。

・「レイガルド帝国軍」

聖剣、そして魔剣の強大な力を持って大陸を統一することにより戦乱の時代を終わらせることが目的。

・「闇の軍勢」

人間が支配する世界を良しとしない魔族の軍団。魔族が支配する世界を作るために聖剣と魔剣を求める。

・「光輝の軍勢」

古から闇の軍勢と戦い続ける人間の軍団。帝国がやろうとしている力による支配にも対抗するため、聖剣と魔剣を求める。

主人公エルウィンはゲーム開始時点ではどの軍にも属していない放浪の身で、シナリオの合間合間に挿入される選択肢や、戦闘中の行動によってどの軍に属するかが変わってゆく。フローチャートアドベンチャーゲームのようにストーリーが分岐していき、ルートによって共通の展開はほぼなく、全く異なる結末を迎えるので周回プレイも楽しかった。

そして更に上記のどの軍とも手を切るという「独立軍」ルートという選択まであるのだが、このルートのとある結末に結構な衝撃を受けた。

どうしようもない選択を繰り返した結果、エルウィンは確固たる意志も無いまま手にした聖剣と魔剣の力に溺れるあまりこれまで出会った人物全てから敵とみなされるようになってしまい、最後はバッドエンドとしか思えない終わり方をするのだが、光輝ルートでの正義漢っぷりとの落差は一見の価値あり。

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エルウィンの発狂シーンはビビる
総評

古いゲームだがシミュレーションRPGとしてのやり応えもあり、アドベンチャーゲームのように展開するストーリーも面白くてとてもいいゲームだった。しかし全ルート合計で約100ステージ、難しいステージでは攻略に2時間もかかったりした事もあってかなり疲れた。もうしばらくSRPGはいいかなと思うくらいには…。

数年前にSwitchでリメイクが出ているのだが、そちらはどうやらかなり評判悪いみたいなのでそれをプレイするくらいならこちらを推したい所だが、プレイ環境がどうしてもねぇ。

 

Cランク<誰かに勧めるほどではない>

4位. ドラゴンクエストVIII3DS / 2015年発売)

www.dragonquest.jp

最早説明する必要もないであろうRPG。ナンバリング中オンラインを除けばプレイしたことがないのがこれだけだと気付いたのでやってみた。

これまでのドラクエシリーズと比べるとストーリードリブンな面がより強調されており、自由度はほとんどない代わりに発生するイベントはかなり多くなっている。まぁそれ自体は良いのだが、終始主人公たちがやる事なす事敵の後手後手で上手くいかないこと続きなのがどうも盛り上がりに欠ける。お約束として魔王を復活させないといけないのはわかるが…。

システム的には錬金システムで強いアイテムを作る組み合わせを探すのが楽しかったり、定番だった職業システムを完全廃止してスキルポイントシステムになって自由度の高い育成ができるようになったりといった点が良かった。と言ってもどちらも以前にプレイした11に受け継がれていた部分なんで、新鮮味は無かったが。

3DS版限定の裏ダンジョンについては滅茶苦茶やり応えがあって面白かった。

 

5位. ポケットモンスター ブラック (DS / 2010年発売)

www.pokemon.co.jp

これも最早説明する必要もないであろうRPGポケモンは10年以上前にやった第4世代で止まっていたのでやってみた。

ポケモン、3VS3のバトル、わざマシンの仕様が変わって便利になったりという変化はあったが基本的には第4世代のマイナーチェンジという感じが強くてそこまで大きなゲーム体験の変化はなかった。期待していた以上でも以下でもないという感じだった。

殿堂入りしなくてもエンディングが流れたのは少し驚いた。

 

6位. Inscryption (Steam / 2021年発売)

store.steampowered.com

カードゲームとホラー要素もある謎解きアドベンチャーが融合したゲーム。

3章立てのストーリーであり終始カードゲームをプレイすることになるのだが、
1章:ローグライクでのデッキ構築
2章:一般的なパック開封&デッキ構築
3章:既定の初期デッキから、カード自体を改造して性能を強化
といったように、基本となるルールは同じながらも同じことの繰り返しにならないよう章ごとにシステムを変えることで、最後まで飽きさせない作りになっている。

カードゲーム要素は上記したように工夫はされているものの、ボリュームが多い訳でもなく難易度も低めである為初見でも1~2日程度でクリアできるだろう。単純にローグライクをやりたいならSlay the Spireを、構築がやりたいならMTGAなどのDTCGをやった方が楽しめる事は間違いない。

このゲームを高評価たらしめているのはもう一つの要素である謎解きアドベンチャーの部分だと思う。
1章のローグライクをプレイしていると、途中からプレイヤーはカードゲームを離れて部屋の中の捜索をすることができるようになる。そこでパズル付きの金庫や黒塗りのルールブック、意味深な像や喋るカード…と言った謎を見つけていくうちに、プレイヤーはすぐにこのInscriptionがただのカードゲームではなく、後ろに大きな物語が存在する事に気づく。
そして謎解き要素は2章、3章とエスカレートしていき、時にはホラーやメタフィクション的な要素も取り入れながらプレイヤーを悩ませ続け、カードゲームと謎解きをひたすら繰り返しながらプレイは進んでいく。
3章をクリアしてエンディングを見届ければ一応ゲームは終わりとなるが、このゲームはヒントだけを散りばめて明確な答えを提示せず、「後はプレイヤーが考えてね」というタイプの終わり方をするので、クリアした後もプレイヤーの謎解きは続いていくようになっている。

しかしゲーム中で語られなかった謎がかなり多いので普通にクリアするだけでは消化不良。というのもこのゲームいわゆるARG要素が存在し、ゲーム外でその謎のヒントが得られるようになっていたのだ。
もっとも、発売からだいぶ経った現在では新しい情報発信も無くなったようなので、今からそれを楽しむのは難しいと思うが…。

ゲーム全体を通してみれば謎解きアドベンチャーがメインであり、人によってはゲーム後のARG要素や考察に最も時間をかけて楽しんでいる事だろう。しかし「話題になっているカードゲームをプレイしよう」くらいの心持ちで始めた自分にとっては、それに対する裏切りが悪い方に働いてしまったというのはあると思う。

 

7位. 采配のゆくえ (DS / 2008年発売)

www.gamecity.ne.jp

関ヶ原の戦いの一日を舞台にしたアドベンチャーゲーム。史実では味方の裏切りなどにより敗走することとなった西軍の石田三成が主人公で、史実とは異なる西軍の勝利を目指すという話。

ゲームは情報を収集する"戦略パート"と戦いを進めていく"合戦パート"を交互に繰り返すが、この流れやシステムが逆転裁判にかなり似ている。インタフェースもどことなく逆裁に似ていて故意犯だと思うが、一応丸パクリではなく合戦パートにはパズルのように武将に指示を与えて戦闘を進めていくというオリジナルのシーンもある。

キャラクターも逆裁っぽくデフォルメされていて特に西軍のキャラは皆良い味を出しているのだが、それに比べ東軍のキャラの印象は総じて薄く、大将である徳川家康も強キャラ感を出していた割に最後はあっさりやられたのでそこらへんがイマイチ。

ボリュームも少なく難易度も低かったが、腐っても逆裁フォロワーなんで一応それなりの面白さはある。

 

8位. さくらの雲*スカアレットの恋 (Win(R18) / 2020年発売)

cabbage-soft.com

大正時代を舞台にしたミステリADV。2020年から100年前にタイムスリップした主人公が出会った探偵の助手として様々な事件を解決していき、最終的にはタイムスリップの謎を究明し未来へ帰るという感じの話。ミステリ要素を期待してプレイしたがミステリパートといえる部分は物語中盤の一部しかなく、かつその事件の設定も無茶苦茶だったので期待外れだった。

しかし終盤で判明した主人公の正体にまつわるイベントと、それに関係するゲーム全体に仕掛けられていたトリックについてだけは本当に驚かされて思わず唸ってしまった。

ただその後の解決編ではラスボスの悪事の理由もその倒し方もありきたりで興醒めだったので、折角上がったテンションも最後に下がって終わったという感じ。面白い部分は一瞬だった。

 

Dランク<遊べなくはないが、つまらない>

9位. 魔族の大地 TDQⅡ (X68000 / 1992年発表)

かなり昔に作られた同人ドラクエクローンゲーム2作目(1作目も下で紹介)。DQ8をクリアした後無性に昔のドラクエが遊びたくなったのでプレイ。

グラフィック、モンスター、呪文、音楽は原作のものを流用しているのでその辺りは本家ドラクエっぽい雰囲気は出ているが、街や人といった固有名詞のネーミングセンスや明確なテーマ性を持った結末は本家っぽくなく同人ゲームっぽいなと言う感じ。FC時代のドラクエのバランスやシステム的に不便な所の多くをそのまま受け継いでいるので、今基準だと決して遊びやすくはない。

TDQ2の特徴は仲間を集めながら進んでいく所で、本家DQ4のように多数のキャラクターが仲間になる。まぁ発売時期的にインスパイアはされているだろう。本家とは一味違う勧善懲悪ではないストーリーやステータス画面での顔グラフィック表示などといったオリジナル要素も盛り込まれている。

無料で配布されているが現代PCで遊ぶまでの手順が少々面倒なので、そのハードルを越えてまでやる価値があったかというと…正直無い。昔のドラクエが遊びたい欲は一応解消されたので良いか。

 

10位. 永遠のフィレーナSFC / 1995年発売)

百合カップルである自分たちを変態だと言っているシーン。今だとクレームが入りそうだ。

小説が原作のファンタジーRPG

奴隷として育てられた主人公フィレーナが、かつて帝国に滅ぼされた国の王女であるという事を知り、祖国復興の為に旅に出るという感じの話。女性主人公かつ恋人が女性という、主人公達がいわゆる百合カップルであるという設定はこの年代のRPGとしてはかなり珍しい。

原作モノということでストーリードリブンな開発がされたのであろう、ストーリー以外の面では当時流行っていたRPGから拝借されたような印象が強い。バトルのシステムやウインドウ構成、町やフィールドの感じはかなりFF4,5に似ているし、武器を複数装備して戦い武器の種類によって使える特技が変わるという点はロマサガと同じだ。

あと公式の宣伝文句で"2元中継"と謳っているようにかなりの高頻度で敵サイド(帝国)の視点が入るのが特徴。問題なのはこの敵サイドのキャラクターで、フィレーナと対峙するのは帝国の「黒い悪魔」と呼ばれる集団なのだが、20人以上居るにもかかわらずグラフィックが全員同じ、かつ名前もバラバ1、バラバ2、バラバ○○…という、完全にFF9の黒のワルツ方式である*3
黒のワルツは3人だし序盤の中ボスだからまだ気にならないが、フィレーナの敵は最後までこいつらであり、バラバ2を倒すと次にバラバ14が、バラバ14を倒すと次はバラバ8が…と、倒しても倒しても全く同じ外見の敵と戦わなくてはならない。これではあまりにも面白味が無いし、敵サイドの動きを見せられても誰が何をやっているのか全然わからん。まぁ、ラスボスは流石にこいつらでは無く意外な敵だったのでまだ良かったが…

ストーリーに関しても正直微妙である。フィレーナは相当の大儀を成し遂げたにも関わらず終わった時の感動がここまで薄かったのはボリュームの少なさが何よりの原因だろう。原作小説9冊分のイベントはなかったと思うので容量上の都合かかなり色々と端折られたと思われる。

ゲームが止まるバグも多発するし怪電波のようなBGMも多い。
原作ファンでフィレーナ関連なら何でもやりたい人でもなければプレイする選択肢に入れる必要はないと思うゲームだ。

 

11位. 神聖紀オデッセリア (SFC / 1993年発売)

神話をモチーフにしたRPG

ストーリーがと~にかくややこしい。ギリシャ神話やインド神話といった様々な神話を一つの物語に盛り込んだので登場人物や登場地域も多く、かつ3つの時代をタイムトラベルする物語なので今何が起こっているのかをちゃんと把握するのが本当に難しい。自分はプレイしながら適宜ネット上の解説やプレイ日記を見て何とかついていったが、そうしないと何が何だかすぐわからなくなる。固有名詞の多さも凄まじく、正直脳のリソースをストーリーを理解することに使いすぎたので面白いと感じられなかった可能性はある。

システム的な特徴としてはレベルアップ時に上昇する能力を完全に指定できるという物があったが、魔法が強すぎるバランスだという事に気づいてから全員魔法特化ステータスにすることで後半ヌルゲーになって戦闘すらつまらなくなってしまった。

色々と尖った所が多い作品なのでもしかしたら合う人には合うのかもしれないが、万人受けする作品でないのは確か。

 

12位. T-DRAGON QUESTX68000 / 1991年発表)

概要は上記TDQ2と同様。

ストーリーは本家DQ1のような自由度の高さでイベント数は少なくクリアには大して時間はかからないが、まあとにかくバランスが悪い。

本家DQ2の駄目な点をリスペクトしたかの如く序盤から終盤まで即死エンカウントのオンパレード。これに比べると上記TDQ2は大分マシになっている。

オリジナルのドラクエに対して付加された要素というのもほぼ無くてはっきり言って残念な出来だが、商用でもない同人ゲームの1作目という事でそれはしょうがないと思う反面、今のようなゲーム開発ツールもない時代に作者はこれをほぼ一人で完成させたというのだからその点はただただ尊敬する。

 

Eランク<苦行>

13位. りゅうおうのおしごと! (Switch / 2020年発売)

www.entergram.co.jp

同名のライトノベル及びアニメのゲーム化作品。
キャラゲーとしても将棋ソフトとしてもかなりお粗末な出来である。

"アドベンチャーパート"ではアニメ1クール分のエピソードをアドベンチャーゲーム形式で追体験できるのだが、わずか2~3時間で読めてしまう程度のボリュームしかない。しかも信じられないことにボイス収録すらほとんどされておらず、キャラは全然喋らない。定価7700円のゲームでこれは…

一応メインの話とは別におまけ的に描きおろしのオリジナルストーリーもあるのだが、公式HPによるとその内5/6は原作者が執筆していないらしく…。本編よりも全然つまらなかったのでそちらは半分も読んでいない。

ではもう一つのウリである将棋パートが充実しているかというと、そうでもない。

将棋パートでは10種類のCPUと戦う事ができるが、ただそれだけ。ファミコンのゲームかと思うくらい本当にそれだけしかない。同じswitchの将棋ゲームで言えばこれ以前に「棋士藤井聡太の将棋トレーニング」「遊んで将棋が強くなる!銀星将棋DX」などが出ているが、あちらには将棋の基礎を学べる機能・棋譜の保存や再生機能・レーティング戦・AIによる分析機能などなどが搭載されており、将棋を遊ぶ上で本作が優れている点は何一つない。おまけにこれらのソフトは定価4~5000円程度である。

苦行というより虚無。アドベンチャー部分が充実していて将棋はおまけとか、あるいはその逆ならまだ良かったのだが、共倒れしているせいで本当に褒められる所がないゲーム。これがネットで殆ど叩かれていないのが不思議だったが、単純に誰も買っていないんだろうな。

*1:原作のIとIIはメガドライブ

*2:難しいと言っても原作であるMD版よりはいくらか難易度が下がっているらしい。ルートによって難易度は変わるが、大体ファイアーエムブレムシリーズのルナティックよりは全然簡単でハードと同じか少し難しいくらいだと思う。

*3:一応言っておくと黒のワルツの方が後発である