おぼへ書き

RPGとアドベンチャーゲームとTCGと卓球と白雪千夜が好き。

2023年にプレイしたゲームの紹介・感想

2023年は思っていたよりもゲームを消化できなかった年だった。

理由としてはプライベートで面倒くさいイベントが幾つか発生した事と、モンハンワールド:アイスボーンをプレイしてしまった事が大きい。

アイスボーンは元々4年前にクリアしていたタイトルだったのだが身内で再プレイする事になってまたハマり、トータルして約273時間という大量の時間を吸われてしまった。これが無かったらあと2~3本はできたかな。

 

ちなみにこの先ネタバレ若干あり。(読んでもゲームの本質的面白さには影響ない程度にしてるつもり)

 

Aランク<心に残り続けるであろう傑作>

1位.サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-(Win(R18) / 2023年発売)

ゲーム紹介

芸術をモチーフに、幸福な生とは何か?という事をテーマにしたADV。

サクラノ詩」の先の物語が描かれている続編。

かつて幼くして天才画家として活躍していた主人公だったが、ある事件により画家として世界を目指す目標を失ってしまう。そして学園の美術教師となった主人公がそこに通う生徒や縁のある美術家、前作で学生時代を共に過ごした友人達などと関わりあいながら色々なことに首を突っ込み、誰かの為に奔走していくという物語。

システムは非常にオーソドックスで、数個の選択肢による好感度変化でサブヒロインのルートに分岐し、分岐しなかった場合はオーラスルートへたどり着く。

作中では実在の画家やその作品にまつわるエピソードが頻繁に登場するほか、詩や小説やクラシック音楽といった幅広い芸術作品からの引用が多用され、テーマと絡めて語られる事が多いのが特徴。

と言っても堅苦しい話ばかりという訳ではなく、芸術に疎い自分でも十分楽しめる作品である。ルート分岐をするまではむしろコミカルな日常パートの方が多い。

非常にテーマ性の強い作品であり、前作に加えてもう一作「素晴らしき日々(すばひび)」という作品が存在するのだが、これら三作は共通したテーマを基に作られており、ライターであるSCA自氏もこれらを合わせてテーマ三部作と呼んでいる。

哲学的要素の強いすばひび、エンタメ的要素の強い前作、そして本作は前作のノリを残しつつ少年漫画的なキャッチーさが加わった作品となっている。

 

感想

★バトルもの顔負けの熱い展開

芸術家たちの物語である本作だが、主人公をはじめとした天才芸術家という存在だけではなく、凡人と評される芸術家やそもそも芸術家では無い人物にも等しくスポットが当たっており、それぞれの人生観が激しくぶつかり合うストーリーは終始面白かった。

各ルートで誰かの為に奔走する主人公は非常に格好良かったが、一番のハイライトは何と言ってもオーラスエンドの展開。

本作のオーラスルートでは大人になり教師となった彼が再び画家として戦う話になっているのだが、これがそこら辺のバトルものよりもずっと熱い展開だった。

主人公が色々な人の思いを受け取っていたことに気付いて復活する展開、そして旧友たちの助けを借りながら最後の戦いに向かうという展開の流れがまさに少年漫画的な盛り上げ方を持って描かれており、読み進める為にクリックするこちらの手にも思わず力が入っしまった。ヒーローが活躍する姿は最高に格好いい。

 

★幸福な生というテーマ

詳細は省くが、前作であるサクラノ詩の終わり方は一般的なギャルゲーであればバッドエンドと呼ばれていてもおかしくない内容となっていた。しかしながらバッドエンドという雰囲気は全くなく、むしろ幸福はいつでも手を伸ばせば感じられるという事を主人公が実感して終わっている。

本作でも主人公がヒーローとして活躍する話は前述したが、そのオーラスルートこそがこのゲームの全てという訳ではない。ルートによってはヒーロー否定論が語られれており、主人公は画家として再起せずに幸せな人生を見つけるという締めくくりのエンドも多い。つまりヒーローになることも、ならないことも、どちらも肯定されている。

これだけではなく、この物語の中では「真作と贋作」「幸福と不幸」「幾望と既望」「凡人の芸術と天才の芸術」など多くの二項対立が挙げられ、そして全てにおいてその両方を肯定するという描き方が徹底されており、自分の心にはこれが強く刺さった。

それは大恋愛をして誰かと結ばれたり、英雄になったりしなければハッピーエンドにはならないという一般的なギャルゲーに対してのアンチテーゼと言えるかも知れない。

 

★夏目雫は…?

可愛いよ

雫が~~~~~っ

 

雫がほとんど出てこない~~~っ


エピローグでも全く出ない~~~

悲しい~~~っ

 

総評

本作は前作から地続きの話で、前作で描かれたメッセージを補強するような物語である。それだけに前作のような衝撃は受けなかったが、相変わらず非常に面白かった。

前作がものすごく綺麗な終わり方をしていただけに続編をプレイする前は少し不安だったが、いい意味で予想を裏切ってきた終盤の展開は自分としては最高だった。これまでのシリーズと明らかに毛色が違う展開だった為拒否反応を起こす人も居るかもしれないが…。

ただ前作で一番好きなキャラだった夏目雫の出番がほぼ無くて心で泣いた。彼女が物語の裏で受けた苦痛はきっと相当のものだっただろうが、果たしてそれを上回るほどの幸せをその後享受できているのか。きっとこういう物語なのだから全てが終わった後彼女が幸せに過ごしているのは間違いないと思うのだが、そんな姿を沢山見たかった…

 

2位.Summer Pockets REFLECTION BLUE(Win / 2020年発売)

ゲーム紹介

夏休みをテーマにしたADV。

とある事情により通っていた男子校に居場所がなくなった主人公が、夏休みに叔母から祖母の遺品整理を手伝うように誘われたことをきっかけに鳥白島という離島を訪れ、そこで出会った少年少女とかけがえのない夏休みを過ごすという感じのストーリー。

苦しい現実から目を背け夏休みに逃げ込んだ主人公が、様々な理由で夏休みに留まっているヒロインたちと出会い、それぞれが抱える問題を共に解決して一歩前に踏み出す物語になっている。

メインキャラクターの多くが鳥白島少年団という同じグループに属している事からリトルバスターズ!のような友情青春の物語と思いきや、それだけではなくCLANNADのような家族愛も非常に大事な要素となっている。

Keyのメインライターである麻枝氏こそ原案にとどまり執筆はしていないものの、Keyのこれまでの作品の要素を詰めた集大成と言ってもいいくらいのゲームであると思う。

夏休み前半(共通ルート)では1日に2回島の全体マップが表示され、行動先を選択することでその先にいるヒロインやサブキャラクターとのイベントが発生し、好感度やフラグ立てをして夏休み後半から個別ルートに入るという流れで進む。イベント中も選択肢によって細かく後の展開が分岐するので、共通ルートだけでも総テキスト量はかなり多い。

 

おまけ要素として本編に関係ない卓球ミニゲームなんかもある。

 

感想

★流石は泣きゲーのKey…
個別ルートのクオリティの高さやオーラスルートへの盛り上がり、そして美しい結末といった点は素晴らしい。
ルートは8つ+オーラスとかなり多いが、各ルートの内容は
・心を閉ざしたヒロインと少しずつ距離を近づけていく王道のしろはルート
・恋愛ではなく家族の絆をテーマにしたうみルート
・冒険譚にワクワクしつつもミスリードや伏線回収が緻密に仕組まれた謎多き鴎ルート
などそれぞれ全く毛色が違った物語展開を見せる為、ルートの度に新鮮な気持ちになり最後まで飽きさせない。
どのルートもヒロインが夏休みに留まる理由とその解消までの流れが丁寧かつ感動的に描かれており、終盤では登場人物の尊さに涙してしまう場面も何度かあった。
展開を盛り上げる画面効果や音楽といった演出のレベルも高く、流石は泣きゲーのKey…と思わされた。

鴎ルート、一番泣いちゃったかもしんね


★物足りない部分も…
その一方で、キャラクターの印象の強さや日常パートの面白さでは正直CLANNADリトバスに軍配が上がる。共通ルートではかなりギャグシーンが多いのだが、CLANNADリトバスと違い声を出して笑ってしまうような所が本作には無かった。
特に少年団の男性陣が…日常パートではバカ担当として出番こそ多いが、やってることがいつも同じで印象に残るような活躍も少ない。
主人公も自身のトラウマを解消できたのかどうかがイマイチわからないルートが多くてどうもすっきりしない部分がある。

 

★"夏の眩しさ"を思い出させてくれる物語
このゲームにおいては、夏休みという物の素晴らしさの本質は具体的なエピソードやその記憶ではなく、そういった体験を通して得た感情にこそあると語られ、それを"夏の眩しさ"と表現している。
自分はこの作品で描かれているような内容の夏休みを経験した事は無いが、その夏の眩しさという物には共感でき、そういえば自分も昔はこうだったなあ…と色々な懐かしいエピソードを思い出してどこかノスタルジックで幸せな気持ちにさせてくれる素敵な物語だった。

 

総評

Key作品に触れるのは本当に久しぶりだったが、プレイして良かった。

始める前はシナリオライターが麻枝氏ではないという所で不安もあったのだが、いざ始めればそんな不安はすぐに吹き飛んでしまうくらいシナリオのクオリティは高い。(但しギャグシーンのセンスには差を感じる。)

自分の中でリトルバスターズ智代アフターこそ越えなかったものの、かなり面白かった作品。

 

3位.ファイナルファンタジーV アドバンス(GBA / 2006年発売)

ゲーム紹介

SFCの名作RPGであるFF5の移植作。

風・水・火・土の4つのクリスタルに導かれて出会った素性の違う4人が、クリスタルを守り、やがて世界を脅かそうとする邪悪な存在に立ち向かうという解りやすいストーリー。FFらしく、多くの仲間との出会いと別れがドラマチックに描かれている。

コマンド選択式RPGであり、戦闘中時間経過によりゲージが溜まったキャラから行動できるお馴染みのアクティブタイムバトルを採用している他、FF3から発展したジョブチェンジシステムが特徴。道中いつでも自由に職業(ジョブ)を変えられるという機能はそのままに、ジョブの能力(アビリティー)を他のジョブに受け継がせることができるアビリティーシステムが新登場。

例えばナイトは重装備ができる代わりに物理攻撃しかできないジョブだが、黒魔道士の経験を積んでからナイトに転職することで、黒魔法も使える魔法戦士系のキャラクターにすることができる。

他のジョブに受け継がせることができるアビリティーは黒魔法のようなコマンドだけではなく、能力値や装備できる武器種だったりと多種多様。

また、GBA版では新たに新規ジョブやクリア後の裏ダンジョンといった要素が追加されている。これらの追加要素は近年発売されたピクセルリマスター版には入っておらず、現状プレイするにはこのGBA版を遊ぶしかないという状況になっている。*1

オリジナル版はもう10回以上はクリア済みだったのだが、この追加要素をやってみたくてGBA版を購入した。

 

感想

★ジョブとアビリティーの組み合わせによるパーティ構築と戦闘の楽しさ

ジョブとアビリティーのシステムは現代のゲームと比べると非常にシンプルなシステムだが、意外に奥が深い。

全26種類のジョブと100種類以上あるアビリティーの組み合わせでキャラメイクをするのだが、キャラ1人にセットできるアビリティーは通常1つまでなので万能キャラを作ることは難しい。制約の中、弱点を補いあうようなパーティを作るのか、一芸に秀でたパーティを作るのかなど4人のパーティ構成をどうするのかを考えながら冒険を進めるのが非常に楽しい。

後半になると無策で挑めばレベル99になっていたとしても為す術なくやられてしまうようなシステマティックな戦いを要求されるボスも用意されており、システムを生かした攻略法を見つける楽しみを味わわせてくれる良いバランスとなっている。*2

各ジョブ毎に若干の強弱はあるものの死にジョブと言われるジョブが居らず、しかもどれも個性的で似たようなジョブが無い。一周クリアした後もジョブを変えてプレイするだけで全く違う面白さになるところも凄い。

 

★気持ちのいいストーリー

システムに注目されがちな本作だが、自分はこのゲームのストーリーもかなり好きだ。

パーティ内でのゴタゴタがやたらと多かったFF4やFF6と比べると本作のパーティの結束力は非常に高く、数々の障害が現れるのにもかかわらず一致団結し、メンバー間で立てた目標にまっすぐ突き進んでいく所が気持ちが良い。だからといってメンバー内でのドラマが薄いという訳では無く、各々に隠された秘密や重要な過去が明らかになっていくシーンや、離れ離れになったメンバーを助けに行く展開など見せ場は多い。

またスケールが大きい割に話がシンプルで分かりやすく、それでいて心に残る印象的なイベントも多い。Ⅶ以降のFFと比較すると同じシリーズとはとても思えない。難解にしないと深みが出ないと勘違いしたような*3最近のFFはこの頃のマインドを思い出して欲しい。

 

★やり応え十分な追加要素

オリジナル版FF5にもやりこみ要素としてラスボスよりも強い2体の裏ボスがいたのだが、更なるやり込み要素として裏ダンジョンが追加された。

裏ダンジョンは広大で、時間制限ギミックや特定のアビリティーを駆使しないと進めないギミックがあるなど一筋縄ではいかない。更にはオリジナル版の裏ボスよりも強いボスが何体か登場するなどやり応え満点。

この他にもボスラッシュ的な戦いが楽しめる最終ダンジョンもあり、移植モノの追加要素としては十分なボリューム。FF5を沢山プレイした自分でもとても新鮮に遊べて楽しめた。

 

★新規ジョブはもう少し活躍の機会が欲しかった

新規ジョブ4つのうち3つはストーリー最終盤で解放され、もう1つに至ってはなんと1つ目の裏ダンジョンのボスを倒してから解放される。その為新ジョブが活躍する機会が非常に少ない。面白くて有用なアビリティーもあるだけに勿体ない。折角の新要素なのでもっと序盤から使いたかった。

 

総評

大きなバグや劣化点なども全くなく、非常に完成度の高い移植。オリジナル版の圧倒的な完成度の高さと面白さを再認識した。

既プレイ者でも新たな楽しみに満足できる傑作で、楽しすぎてつい2周も遊んでしまった。

 

Bランク<プレイしてよかった良作>

4位.海からくるもの(Windows(R18) / 2003年発売)

ゲーム紹介

一部界隈でカルト的な人気を誇る超高額プレミアADV。

現代の世界と似た文明レベルを持つ世界が舞台。人類は先史人類が残したテクノロジーを発掘することでわずか数百年で狩猟時代から文明社会へと進化した。しかしそのせいで人類は自分の力で文明を発展させるという事を知らず、いつか来るテクノロジーの枯渇に怯えている…という未来の無い歪んだ世界。

無気力で冴えない学生"楠田"と裏社会に生きるチンピラ"滝沢"という二人の男が主人公。ある日、楠田は突然人ならざる力を手に入れた事をきっかけに世界を変えようと決意する。彼の存在を知った滝沢はその力を利用し裏社会の頂点に立つことを画策する…というストーリー。

主人公だけではなくヒロインやサブキャラクター全員が腹に一物ある人物ばかりで、力を持った能力者同士の戦いや、能力者を擁する組織の暗躍などが複雑に絡み合うSFバイオレンス・サスペンス作品。章ごとに二人の主人公の視点が切り替わり進んでいく。

それぞれにカラーと呼ばれるパラメータが存在するのが特徴で、これは物語中に表示される選択肢でより暴力的・破滅的な物を選ぶと上昇していく。選択肢はかなり多く、チェックポイント毎にこのカラー値の多い少ないで物語が分岐していく構造になっている。

例えば上の選択肢を選ぶとカラーは増え、下の選択肢を選ぶとカラーは減る。

 

感想

★テンポ良く進むストーリー

90年代的な閉塞感を残している退廃的な世界観が嗜好に刺さる所からスタートし、序盤である第一章から衝撃的な展開が立て続けに起こって一気に物語に引きこまれた。

一つ一つのシーンが短くあっさりしているので話はテンポよく進み、大きな組織の陰謀、力の正体、この世界の秘密…と進むにつれて次第に真実が明らかになっていく展開の構成は非常に上手く、終始ワクワクしながら話を進められた。
簡単に言えば自分の望みを叶えたいという個人の意志vs世界をより良くしたいという大きな意志の戦いの物語なのだが、ルートによって戦いの展開が大きく変わるほか、その二つが一つになるという結末もあり色々なパターンが見れたのも楽しかった。

基本的には主人公は二人とも破滅に向かって進んでいくのでバッドエンドが多いが、幾多のバッドエンドを超えた先のトゥルーエンドの終わり方は本当に素晴らしく、序盤の衝撃的な展開により心に植え付けられたモヤモヤを綺麗に解消してくれたのは良かった。

 

★顔が近~い!!

このゲームにはキャラクター毎の立ち絵という物が存在しない。その代わり、一枚絵が表示されるイベントシーン以外の会話時は常に相手の顔だけが画面全体にデカデカと表示される。初めて見た時はクソビビッて何かのバグか!?と思ってしまった。

立ち絵のコスト削減の為なのかはしらないが、結構違和感あったのでそこは普通で良かったんじゃないか…

近いよ!

 

★選択肢が多い割に…

物語中に表示される選択肢は約60個とかなり多い。

前述した通りパラメータ増減の意味を持つのだが、その殆どはパラメータ増減の為だけの選択肢で、どちらを選んでもその後表示されるテキストや会話に全く影響を及ぼさないというのは少し残念だった。

たまに選ぶとめちゃくちゃカラー値が増大する選択もあるのだが、誤差程度のカラー値変化しか起こらず実質的にほぼ意味を持たない選択も多い。

 

総評

20年前のゲームという事でシステム面やカラー関係では若干の苦しさを感じたが、プレイ中は熱中出来て読後感も良く、味わい深い作品であったことは間違いない。

非常に好みの話だったが一般受けしなさそうなストーリーで、カルト的人気となるのも頷ける。題材の割に派手さは全くなくプレミアエロゲ群の中でも語られることが少ないゲームだが、手に取ってみてよかったと思う。

 

5位.グリザイアの迷宮Windows(R18) / 2012年発売)

ゲーム紹介

グリザイアの果実の続編となるADV。

前作で描かれたヒロイン5人の各ルートのその後を描くアフターシナリオと、主人公の過去を描くシナリオの2部構成。どちらのシナリオも選択肢は無く、完全な一本道で物語は進む。

アフターシナリオは過去のトラウマを乗り越えた各ヒロインと主人公がさらに仲を深め、共に未来へ歩むことを決意するという内容。血生臭い展開はほぼなくコメディやイチャラブ展開が中心のファンディスク的な話。

一方、前作では断片的な匂わせにとどまっていた主人公の素性が明かされる過去編シナリオは180度雰囲気が変わる。複雑な家庭環境に生まれ子供には辛すぎる壮絶な体験をした幼少期、師匠と呼べる人間に出会い、獲得と喪失の中で人間らしさを思い出していく青年期と終始シリアスな展開が続く。

そしてこの過去編が終わった後ちょっとしたエピソードが挿入されるのだが、それが次作のグリザイアの楽園へのプロローグとなり、クリフハンガー的な演出をもって終わる。

 

感想

★アフターシナリオは微妙

前作の各ルートでヒロインの問題は解決できてしまっているので、アフターシナリオは一部を除いてかなりゆるやかな展開が続く。

前作の感想でも少し書いた通り俺はこのシリーズのシリアスではない部分にあまり魅力を感じられていない為、それほど面白いとは思えなかった。

相変わらずギャグも合わないし、前作でもっと見たい!と思えるようなヒロインキャラができていればまた違ったかもしれないがそれも居なかったので…。一番好きなキャラは姉ちゃんだしな。

ただ、前作でビターな終わり方をしていた蒔菜ルートだけはコミカルとシリアスが調和したシナリオでこれで一本続編作れるんじゃねえか!?ってくらい結構面白かった。

蒔菜は最初と最後で一番印象が変わったキャラクターかもしれない。

 

★過去編が面白い!

波乱に満ちた主人公の過去シナリオは面白かった。

前作及びアフターシナリオではヒロインの為に奔走する姿のみが描かれ、いまいち理解し辛いというか好きになりきれなかった主人公の事を少しずつ知って共感が生まれていき、最後には好きなキャラクターになっていたのだから驚く。

絶望と救いが混ざり合う壮絶な人生が引きこまれる文章で描写され、結末はうっすら分かっているはずなのに終始ドキドキしてプレイしてしまった。

そしてそれだけで終わらず、舞台を現代に戻した後も過去編の内容自体を大掛かりなフリにして新たな事件を起こし、テンションが最高に上がった状態で次作に繋ぐという演出もかなり良かった*4。もっとも、今プレイしている俺は次作をすぐプレイできたからいいものの、リアルタイムでプレイした人にとってあの終わり方は生殺し状態で辛かっただろうということは想像に難くない。

 

★おまけは…

本編とは全く関係がないおまけとして、前作の共通ルートのノリで書かれたショートシナリオを30本ほど読むことができる。

こちらはまあ読む必要が無かったので数本だけ読んであとは放置したが、個人的にこういうノリを本編外に持っていってくれたのはありがたかった。

 

総評

前作の個別ルートのシリアスさが好きだった人なら間違いなく過去編は刺さる。

共通ルートのコミカルさが好きだった人でもアフターシナリオやおまけがある為十分楽しめるだろう。

ファンディスクなのか続編なのか微妙な所だが、どちらと取っても満足できるボリュームなのではないかと思う。

 

 

6位.スーパーマリオRPG(Switch / 2023年発売)

ゲーム紹介

スーパーファミコンで発売されたマリオシリーズ初のRPG作品のリメイク。オリジナル版は20年以上前にプレイ済み。

いつものようにクッパに攫われたピーチ姫を助けに行く物語…と思いきや、異世界から侵攻してきた謎の軍団により事態は一変、マリオワールドを救うために仲間を集めて世界を旅するという物語。ヨッシーキノピオといったお馴染みのキャラだけでなくオリジナルキャラも多数登場し、他のマリオシリーズとは一味違った雰囲気となっている。

システムとしてはコマンド選択式RPGなのだが、攻撃や防御の瞬間にタイミング良くボタンを押したり、特定のコマンドを入力したりすることでパワーアップするアクションコマンドシステムが特徴。リメイクでは連続でアクションコマンドを成功させることによるボーナス要素が追加された。

フィールドは3Dでシンボルエンカウントとなっており、コイン、?ブロック、スター、土管などマリオらしい要素がふんだんに登場するステージをお馴染みのジャンプを使ったアクションで突破していく形となっている。

原作と比較するとグラフィックのフルポリゴン化、要所で挿入されるムービーやファストトラベル機能、3人わざ、モンスター図鑑や追加ボスといった追加要素がメインとなり、オリジナルであった要素という部分は殆ど改変されていない。

 

感想

★オリジナルの味を損ねない絶妙なリメイク

本作は数あるリメイクの中でも最もオリジナルに忠実な部類に入る。
個人的に思い入れのあるゲームがリメイクで別物として作り直されるのはあまりいい気がしないのだが、遊んでみた感覚としては超リマスター版とも言っていい程オリジナルの感覚のままで安心した。

もちろんただ綺麗になっただけではなく前述した追加要素という新たな楽しみもあるのだが、オリジナルの良さがそのまま綺麗に残されているので劣化していると感じる部分は本当に一つも無い。

アクションコマンドの強化や3人わざの追加といった味方の強化はある一方、敵の強さはほぼオリジナル版のままなのでメインストーリーの難易度はやや簡単になっており、ストーリーをサクサク進められるようになっている。しかしその分追加ボスとの戦いがある為全体としてのやり応えは損なわれていないし、むしろ上がっていると言える。*5

追加ボスは最大レベルでもしっかりと戦略を立てたりアクションコマンドを上手く決めたりしないと勝てない。

 

RPGなのに、マリオらしいアクションを楽しめる

戦闘こそコマンド式だが、本作はアクションゲームとしてのマリオの面白さも体験できる作りとなっている。

本家マリオにあるような変身要素こそ無いが、クリボーやパタパタといった敵たちのシンボルをジャンプアクションで避けながら進んでいくだけで楽しく、落ちる床や動く床、転がるタルなど過去作品にあった要素をオマージュして本格的なアクションをメインとしたコースもあり、フィールドでのアクションは本当にマリオシリーズを遊んでいるような感覚を覚える。

 

★豊富なミニゲームも楽しい

ストーリー中のイベントや寄り道要素として凄まじい種類のミニゲームが用意されている。そのジャンルもレースやシューティングといったフィジカルを要求されるものからクイズやパズルといった頭脳系と幅広く、こちらを飽きさせない。

シンプルながら奥が深いレトロ風シューティング「ばくれつカブトムシ」

ブレーキングが物を言うトロッコゲーム

クイズ

 

★ボリューム不足

元々スーパーファミコンRPGの中でもストーリーが短かった本作だが、ほぼそのままのボリュームなので現代感覚ではフルプライスで遊ぶには明らかにボリューム不足。初見でも10~15時間ほどあればクリアできてしまうだろう。

FF7リメイク程長くしろ!とは言わないが、せっかくだからクリア後とかにもう少しくらいは肉付けしてもよかったんじゃないか?という気持ちもある。

 

総評

アクション要素や多数のミニゲームなどおもちゃ箱のように様々な要素が詰まっていながら、それぞれがメインのRPGのテンポを崩さず見事にフィットしてる。

オリジナル版はSFCRPGの中でも屈指の完成度を誇る名作だったが、正統進化という感じのリメイクで懐古厨の自分もニッコリ。あらためて欠点という欠点はボリュームの少なさくらいしか思いつかないが、その欠点は割とデカい。

 

7位.きまぐれテンプテーション(Win(R18) / 2019年発売)

ゲーム紹介

ロープライスの伝奇ADV。

悪魔や妖怪といった人ならざる存在が公に認められている世界が舞台。マンションの住民が全員怪死するという事件に対し、霊的な存在が関わっていると判断した政府組織は陰陽師である主人公を派遣。主人公はそこで出会った協力者である悪魔の少女と共に事件解決の為奔走する…という話。

パッケージや公式サイトを見るとヒロインとのイチャイチャ要素がメインの萌えゲーのように感じるが、実際には全編通して不気味な雰囲気が漂うホラーミステリ作品である。*6

立ち絵やイベントシーンにe-moteを導入しており、全編通してキャラクターがよく動くのも特徴。

ゲームの流れとしては、自室でのヒロインとの会話パートとマンションの捜査パートを繰り返して進んでいく。システム的には「話す」「見る・調べる」「移動する」などのコマンド選択の他、調べる際は画面内の気になるオブジェクトをクリックするというミステリアドベンチャーではよくみられる伝統的なスタイルを採用している。

要所要所では事件の推理ポイントや関係者の説得イベントというのもあり、間違えてしまうとバッドエンドとなってしまう。といってもあまり難しいものではなく、推理の為のヒントもいつでも開ける捜査手帳から確認することができる。

捜査手帳。物語が進んでいくとTIPS的な感じで内容がどんどん追加されていく。

 

感想

★ホラーと癒しの激しい温度差

捜査パートではマンション住人の霊と対話しながら真相を探っていくのだが、初めは無害そうに見えた霊達も段々と態度が変わっていき、更に自室を除いたマンション全体の様相も不気味に変わっていくので操作パートは後半どんどん不穏になっていき、時には直接的なホラー演出まで出てくる。

しかしながら自室に戻ってからのヒロインとのイチャイチャパートは最後まで変わらないので、そのギャップにやられて段々とヒロインが癒しになり、可愛く見えてくる。

ホラー要素は物語の主軸のはずなのだが、それと同時にヒロインをより魅力的に見せる為の引き立て役にもなっているというのはなかなか面白いなと思った。

 

★短いながらも綺麗に纏まったストーリー

ロープライスという事で10時間程度の短い内容ながらも、インパクトある導入、不穏な空気を見せながらも進む捜査、黒幕との対決、そして余韻を残した美しい締め方…という起承転結の流れが綺麗に纏まっている。

特に印象に残っているのは転と結の部分。

まず黒幕が判明する時の展開。黒幕は特定の行動をした上で推理を全て正解したトゥルーエンドで初めて明らかになるのだが、その際の黒幕の変貌演出には少しビビった。散りばめられた伏線については割とわかりやすくてなんとなくは想像できていたのだが…

そして物語の終わり方。事件が解決した後主人公がとった選択が仄かに示されて終わるのだが、その演出がとても綺麗で良かった。最後の最後が一番お気に入りのシーン。


★ミステリものではあるが推理要素は薄め

トゥルーエンドにたどり着くためには事件の真相にまつわる謎解きをしないといけないが、前述した捜査手帳というヒントもあり、選択肢自体も少ないので簡単である。本格的に頭を使うような推理ものと言う訳ではない。

 

総評

パッケージやHPからただの抜きゲーキャラゲーと判断して避けるのはもったいない作品。特に伝奇もの、ミステリもの好きにおすすめ。ただし若干のホラー耐性は必要。

続編も制作中のようなので楽しみ。

 

Cランク<悪くはない>

8位. ポケットモンスター スカーレット (Switch / 2022年発売)

一進化しかしなかった相棒のクワッス。

現時点でのポケモンシリーズ最新作。

主人公が学生というのは今までにない設定だが、正直今更学校生活という物に憧れや懐かしさを感じる事も無いのであまり好きな設定ではない。結局授業は一度も受けなかった。

オープンワールドの出来は中々良く、相棒のライドポケモンで島を隅々まで駆け巡ったりポケモンを集めたりするのは楽しい。トレーナーとの強制戦闘が無くなったり戦闘もシームレスに始まったりとテンポが良くなっているのもグッドだ。

3つあるシナリオも最初はどれもイマイチかなと思ったが、終盤になるにつれて面白くなっていき、各ルートで行動を共にしたライバル達(友達)との対戦は最高の盛り上がりを見せる。本作は友達との関係性の描き方がシリーズの中でも一番丁寧で、イベントを経て心を通わせていく描写を重ね、最終ルートでその友達が集合して一緒に冒険をする展開には何とも言えぬ感動を覚えた。

伝説ポケモンのイベント演出がウルトラサンに匹敵するかそれ以上に格好良かったのも強く印象に残っている。

ただプレイしていて細かいストレスを感じた点も多い。上記でテンポが良いと書いたがそれはロードを挟まず進めている時の話で、空を飛ぶを使ったり別エリアに入ったりした際のロードはかなり長め。フィールドを歩いている時に極端にフレームレートが下がったりボックス操作時に重くなったりという問題もあり、マシンスペックの限界を感じる。エラー落ちも3回くらいあった。

あとオープンワールドに合わせて作られたフリーシナリオについて言うと、確かに3つあるシナリオのどのイベントから進めても大筋の辻褄は合うように作られているので一見自由度があるように見える。しかし実際には相手ポケモンの強さや言う事を聞くポケモンレベルの制限などのせいで推奨ルートがガッチリ決まってしまっており、楽しさ的にはそこから外れて進めるメリットがほぼ無いのであまり上手い作りではないなと思った。

 

9位.グリザイアの楽園(Win(R18) / 2013年発売)

グリザイア3部作の最終作となるADV。

1作目「グリザイアの果実」及び2作目「グリザイアの迷宮」のアフターシナリオでは主人公が各ヒロイン5人とそれぞれ結ばれるルートが描かれたが、それとは繋がらない世界線のストーリー。

前作のラストで起こった事件をきっかけとして囚われてしまった主人公をヒロイン達が救出する為に奔走するパートと、過去との決着をつける為に一人で黒幕を倒す事を決意する主人公パートという2つの視点が切り替わりながら物語は進む。

ヒロイン5人が一致団結して主人公を奪還する展開は良かったが、ヒロイン側にサポート役として付いたタナトスという人物があまりに反則級のスペックを持っている為戦略的に負けそうにない感じがして、読み手としては危機感無く話が進んでいってしまう。*7
また、"迷宮"から引っ張り続けてきた主人公の因縁との決着もあっさりしすぎていたというか、どちらかというとその前座との戦いの方が盛り上がったのでどうにも尻すぼみという感じが拭えない。
そして決着をつけた後のアフターストーリーは蛇足感。ハーレム展開でフラフラする主人公よりも、"果実""迷宮"で見せた誰か一人と添い遂げる主人公の方が何倍も格好良かった。

 

10位. ラストバイブルIII(SFC / 1995年発売)

アトラスが過去に展開していたRPGシリーズの3作目。

のどかな序盤の展開とその後の陰鬱な展開のギャップが見どころ。ボリューム満点で、悪の根源を倒したと思ったらそれがきっかけとなって新たな悲劇が起こるなど単純な展開で終わらないストーリーはそこそこ面白い。終盤の展開はやや唐突で萎えた記憶があるが…。

イベントが進む度にどんどん村人のセリフが変わったり、展開に合わせて戦闘BGMやフィールドBGMが変わっていったりと作りこみは細かい。

女神転生でお馴染みの仲魔システムは本作にも存在。本家と違い主人公を始めとした人間キャラクターとの混成パーティを組むこともできる。魔獣どうしを掛け合わせ別の魔獣を生み出す魔獣合体は楽しく、ついつい寄り道して魔獣集めをしてしまう。

ただしバランス面では少し難あり。まず魔法攻撃があまりに弱く、このせいで一部の魔法使い系キャラの立場が無くなってしまっている。

またボスの体力が全体的に低くてめちゃくちゃ弱いのも問題。一度の山場もなくラスボスまで来たのだが、なんとラスボスだけ段違いで強く、HPが高いうえ驚異の6回攻撃を仕掛けてくる。おかげでラスボスを倒す為だけにパーティを作り直すことになったが、いくらなんでもちょっと極端すぎる。

 

以下余談
ところで…間違えて戦闘中にスタートボタンを押してみると謎の数字が。

バグった?と思って色々なボタンをいじってみると…


出現モンスターが変わった…

 

これ…デバッグモードじゃん…


スタートボタンを1回押すだけで出る物を消し忘れるなよ!!

 

 

11位. 流星のロックマン レオ (DS / 2006年発売)

GBAで人気だったロックマンエグゼシリーズの後継作品。

カードバトルにアクション要素が加わったRPGという部分は受け継いでいるが、システムはリニューアルされて非常にシンプルになった。

特に大きな影響を感じるのがバトルシステムの変更。視点はフロントビュー化し、ロックマンは左右にしか動けなくなった。パネル破壊やスチールといった陣取り合戦要素は無くなり攻防が単純化されたが、敵にカウンターを当てたり、ガードやロックオンを駆使した戦いというのはまたエグゼとは違った楽しさがあって良かった。

しかし残念な変更点だったのはチップコードの廃止。エグゼではチップごとのコードが合っていれば1ターンに何枚でも組み合わせて使用でき、それによるコンボを考えるのが面白かった。しかしそれがなくなった結果コンボを狙いづらくなり、バトル中のカード選択はパワーカードを引けるかという運に左右されることとなった。ここは頭を使う楽しい要素だっただけに残念。

変身ヒーローモノとなったストーリーに関しては意外とエグゼよりも面白く感じたが、相変わらずのお使い地獄で連続してやるモチベーションを保つのは難しい。

 

12位. 御神楽少女探偵団 (Win / 2003年発売)

大正時代の日本を舞台にしたADV。

その名の通り主人公は探偵助手の3人娘で、彼女たちが帝都で起きる数々の殺人事件の捜査をしていくという物語。キャラクターの可愛らしさや3人娘の掛け合いのコミカルさとは裏腹にストーリーは凄まじくシリアスである。

キャラクター立ち絵はアニメーションし、色々なリアクションが見れる所が良い。

練習シナリオも含めると全部で5話あり、各話とも導入(事件発生)→捜査編→解決編という構成になっているが、プレイヤーが操作するのは捜査編のみである。

捜査編は帝都各地を巡って事件関係者の証言を聞き、証言の中の怪しい点や矛盾点などを探してツッコむと推理ポイントが増え、ポイントがMAXになると次のチャプターに進むという流れで進む。*8

関係者のセリフの中から重要な発言を見つけていく。

しかし探偵モノの華である推理部分は3人娘の担当ではない。上司である御神楽先生が解決編で勝手にやってしまうので、矛盾点は見つけられるけど結局事件の真相はわからない…という状態でもクリアできてしまう。読み物としてならばともかく、探偵をテーマとしたゲーム作品としてみると明らかに物足りない。
あとセーブがチャプター終了時にしかできないのも不満点。ゲームオーバーになるとチャプター頭から、同じ内容の調査をもう一度やり直さなくてはならないなのが非常に面倒くさかった。

まあ時代背景もあり推理内容も大雑把で疑問が残る部分はあるが、キャラクターやストーリーはかなり印象に残るゲームだった。

 

13位. テイルズ オブ デスティニー2PSP / 2007年発売)

テイルズオブデスティニーの直接的な続編で、前作主人公の息子が主人公。

ボーイミーツガールな始まりから冒険を経て世界を救うかヒロインを救うかを選ぶという古典的なセカイ系の話。意外な展開というのも無くヒロインの正体が仄めかされた時から正直展開はほぼ読めてしまった。
その一方で前作の人気主要キャラであるリオンの贖罪の物語という側面も持っており、前作での悲しい最期に哀惜を感じていただけにこの活躍は嬉しかった。反面、前作主人公であるスタンについてはあんまりにも可哀想な扱いになってしまっており、そこは少し気分が悪かった。
戦闘ではシリーズ定番のTP制を採用しているが、本作ではそれに加えて新たにスピリッツポイント(SP)というものが存在する。最大値は100で固定され、攻撃や防御やアイテム使用など戦闘中のあらゆる行動により消費される。SPは時間経過で回復するが、SPが少なくなるにつれ攻撃命中率や回避率が下がってしまう為、TPとSPという2つの要素を管理しながら戦う事を強いられる。
このルールは相手にも適応されるため自分のSP消費を抑えつつ相手のSP消費を狙う事で戦いが有利になる仕組みとなっており戦略性が増したとも言えるが、その反面TODDCのような爽快感は犠牲になっており、畳みかけたいのにSPが足りない…という場面が多くあり、ストレスを感じた。

エンチャントというお気に入りの術技を使う程その術技に付加効果を付けられる新要素があったが、これは術技を育てていく感じがして楽しかった。

 

14位. レイトン教授VS逆転裁判3DS / 2012年発売)

異色のコラボ作。

ADVゲームという部分では共通しているが、舞台も違えばキャラデザインの方向性も全く違う二作を合体させた作品で、ジャンルもそのまま謎解き+裁判。
世界観についてはどちらかに寄せたとしても違和感が出ると思うので、どちらにも寄らない、魔女と魔法が存在する町というファンタジー要素がある舞台にしたのは思い切ったアイディアだが良かったと思う。
システムはレイトンのシステムで進むアドベンチャーパートと、逆転裁判のシステムで進む魔女裁判パートに分かれている。といっても登場人物も分かれている訳では無く、成歩堂がアドベンチャーパートを進めたり、レイトンが裁判に参加することもある。
アドベンチャーパートについては物語を進めていきながらレイトンでおなじみのナゾを解いていくという流れだが、内容としては子供騙しレベルの物が多くかなり簡単で物足りない。物語終盤のとあるイベントで、ナゾ自体に成歩堂が得意の「待った」をかけて、ナゾの解釈を変えるという展開があってこれは面白かった。コラボならではの展開なのでもっとやって欲しかったが、たった一回しか無いのは残念だった。
裁判パートについては魔法があるという事で、そんな状況でまともな裁判ができるのか!?と思っていたが、魔法を何でもアリにしない為にルールを付け、使用するための条件と効果をはっきり決める事で事件の流れをロジカルに推理することができるようになっており、ファンタジーな世界観と成歩堂の弁護という一見ムジュンしそうな要素を上手い事融合できているのは素晴らしい。
特に面白かったのは3回目の裁判で、一度真相を解明した…と思いきやそこから更にもう一展開あったのは逆転裁判っぽいなと思った。
しかしながら…4回目の裁判の途中で突然このルールが崩れてしまう。別に物語のどんでん返し自体はいいのだが、いままで丁寧に何でもアリを避けてたのに、その前提を全て壊して"何でもアリ"にしてしまったので「あーそっちか…」と思ってテンションが下がってしまった。
あと地味な嫌ポイントだが、成歩堂の演技がかなり酷い。

 

Dランク<遊べなくはないが、つまらない>

15位. 遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶(PS / 1999年発売)

驚くべきことにゲーム中に存在する全モンスターに3Dモデルが存在し、
戦闘シーンを見ることができる

ご存知遊戯王カードを使ったカードADV。

発売時期的にはOCG発売後になるものの、ルールのベースはOCGではなくGBの遊戯王シリーズ(1,2)となっている。

一応主人公は闇遊戯。現代のデュエル大会の後古代エジプトへ渡るというシナリオにはなっているが、内容は原作とは大きく異なり完全なオリジナル。

効果モンスターは存在せず基本的にはシンプルな殴り合いとなる。ただ、モンスターを重ね合わせる独自の融合システムと、ポケモンのタイプ相性のような守護星システムが本ゲームならではの面白さを生み出している。

例えば手札からドラゴン族と雷族を重ねて出せば、サンダードラゴンになって場に出る。

場に出るときにカード毎に決められた守護星のどちらかを選択。
戦闘時、相手の守護星との相性により能力が変化する。

前半の現代編終了くらいまでは融合の判断や守護星の読みあいなど、色々考える事が多くて正直結構面白かった。しかし終盤になるにつれ相手の使うカードが異常に強くなっていき、融合や守護星がどうので何とかなるレベルではなくなってくる。最終的には素で強力モンスターに優秀な装備カードを重ね掛けして戦う以外に勝つ方法がなくなってくるので、そのカード達のドロップを粘ってひたすらフリーデュエルをする作業ゲーになって苦しかった。ゲーム全体のボリュームも少なく、シナリオ攻略よりも作業時間の方が圧倒的に長かった。
巷ではクソゲー扱いされているが序盤は本当に面白く、システム自体は悪くなかったのでバランス面やカードのバリエーションなどもう少し何とかならなかったのかなぁというゲーム。

 

16位. テイルズ オブ シンフォニアPS3 / 2013年発売)

GC,PS2で発売されたRPGのHDリマスター版。

シリーズ初の完全3D作品という事で意欲的な試みが多くみられるが、問題点の方が目立つ作品。

3D化の弊害として移動やイベントシーンについてこれまでの2Dテイルズと比べて明らかにテンポが悪くなっている。

その3DグラフィックもPS2のリマスターという事を考えてもレベルが低い。キャラクター達はずんぐりむっくりで、藤島氏の美麗なイラストには似ても似つかない。

またイベントシーンの演出もショボく、棒立ちのキャラクターが喋ってカメラが動くだけの人形劇にしか見えない。
戦闘も3Dになった!と思ったらフィールドこそ3次元なのにキャラクターは2次元的にしか動けない中途半端なシステム。敵の攻撃は避けにくく、キャラクターが思ったとおりにならないストレスばかり溜まる。何度自由に動かせてくれ~と思った事か。
唯一良かった点として、ダンジョン攻略に関してはこれまでになかったタイプの謎解きギミックが多く採用されており中々楽しませてくれた。

戦闘画面。自由に動けそうに見えて、実際は敵に対して進むか下がるかしかできない。

ストーリーに関して言えば、始まった時はデスティニー2から続いて単純熱血漢主人公+セカイ系で、遂にネタがなくなって焼き直しか?と思い驚いたが、後半はむしろそれを否定するような展開になっており、流石にワンパターンにはなっていなかったので一安心。

自己犠牲の否定、人種差別問題、父親との関係性などテイルズお得意のメッセージ性の強い物語だったが、本作は"ストーリーの中に主張が入っている"というよりも、"主張をする為にストーリーを作りました"という制作者の意図が明らかに見て取れる内容で、イベントにしてもキャラクターにしても皆が同じ主張をロボットのように繰り返すばかりで小学校の道徳の授業を受けているようなダルさが常に付きまとっていた。

 

というか…

『世界を救うための巡礼の旅』
『ヒロインの自己犠牲とその否定』
『人種差別問題』
『父親との対立と和解』

 

これってさ…

 

まんまFF10と同じじゃねえか!?*9

 

17位. THE 鑑識官 ~緊急出動!!事件現場をタッチせよ!~(DS / 2006年発売)

www.nintendo.co.jp

SIMPLEシリーズの推理ADV。

警察を主人公にしたゲームは数あれど鑑識官が主人公というのは珍しい。

お堅いリアリティ志向のゲームと言う訳ではなく、妖怪や霊といったオカルト的なキャラクターも登場するのが特徴。

事件のエピソードは全部で8つ。事件の捜査→物証鑑定→推理(自問自答)という流れを繰り返してゲームは進んでいく。物証鑑定というパートは捜査で得た証拠を鑑識捜査組織である科学捜査研究所(科研)に持ち帰り、証拠に合わせて適切な専門家に分析依頼をして推理の為の情報を集めるというもの。ゲームを通して検死や識別鑑定、犯罪心理学など中々知る機会のない世界に少し触れることができるようになっている。

捜査パートでは鑑識官らしく、指紋や血液反応といった証拠を現場から集める。

題材としては中々面白いように感じるが、フォーマットとしては普通の推理ゲームと大きくは違わない。推理の内容もやや強引でご都合主義な面が目立ち、良くできているとは言い難い。

また、セーブできる場面が限られている、バックログが無い、推理の選択肢を選ぶ際に証拠や資料を見直せない、などとシステム面でも不満点は多い。

キャラクターは結構愛らしいので、会話劇の部分に関しては中々楽しめた。

 

18位. アレサ ARETHA the SUPER FAMICOMSFC / 1993年発売)

可愛らしいパッケージイラストが特徴のRPG
イベントの会話シーンではキャラクターがバストアップで表示される。SFCのゲームとしてはかなり珍しいが、これはかなり良い。


全体的に難易度は低め。キャラクターの移動速度やシステムのレスポンスは良く、メニュー画面からいつでも次の目的地のヒントが聞ける"相談"コマンドもあって親切設計。敵のドロップアイテムを素材にして合成して武器防具を作るシステムもあり、いろいろな組み合わせを試したくなってしまう。
と、ここまで見ると万人受けしそうなのだが…戦闘関連のシステムが独特で尖っている。
オリジナル要素として4方向バトル*10という、出現する敵が一画面に収まらずに前後左右それぞれに分かれて出現するシステムを採用。中盤になると一度の戦闘でモンスターが計10体以上出現することは当然になるが、戦闘の度に一々画面を切り替えて敵を確認したりするのも面倒で、キャラ数が多い分1ターンの攻防も長くなり戦闘のテンポが悪い。*11
もう一つの特徴が、モンスターに攻撃した際にそのダメージ量が表示されないこと。FFのライブラのように敵の残りHPの数値を確認する手段も存在しない。正気を疑う仕様だが、このせいでボスと戦っていても通常攻撃のほうが効くのか魔法攻撃のほうが効くのかわからないし、強化・弱体化魔法をかけてもその効果が全くわからず、終始不安な気持ちで戦っていた。こればかりは本当に意味が分からない。何故こんなことをした?
ストーリーはシンプルで分かりやすく、イベントも多いが平凡の域は超えない。
ラスボスは弱く変身もせずにあっさり倒れ、主人公が大事を成し遂げたエンディングはセリフの1つもなく、その後の様子も語られないので終わり方も非常に寂しい。

 

19位. アレサII 〜アリエルの不思議な旅〜(SFC / 1994年発売)

その名の通り上記アレサの続編。舞台は前作の世界の地底にある別世界。
続編なのに主人公とその相棒の2人を除いた前作の登場人物はほぼ登場せず、前作の世界のその後もほんの少ししか描かれない。主人公アリエルの物語は前作で完結してしまっている為、今回は新たな世界で新たな敵と戦う事にしたのだろう。
システムはほとんど変わっていないが、攻撃時のダメージが表示されるようになった点は大きい。これだけでもずいぶん遊びやすくなったと感じる。

与えたダメージが表示される!凄い!!(凄くない)

しかしながら前作のように謎が明らかになっていく展開や主人公や仲間たちの成長を描く展開が無く、淡々と敵を倒すだけのストーリーで前作以上に印象に残らない。ボリューム自体も明らかに減っている。エンディングも前作と同じくあっさり。

アリエル達は果たして元の世界に戻れたのだろうか。それすら分からない。最終盤に前作のとあるキャラが再登場して意味深なやり取りをして去るのだが、実は続編の構想があった…とかなのか?

いい意味でも悪い意味でも前作よりも記憶に残らない虚無な作品。

 

Eランク<苦行>

20位. 真・聖刻(SFC / 1995年発売)

小説が原作となっているRPG。レトロゲーマー界隈では有名な作品で、SFCの中でも最低レベルの評価を受けている。

しがない盗賊だった主人公が成り行きで世界征服を企む集団と戦う事になり、伝説の操兵(巨大ロボット)を探す旅に出るという感じの物語…なのだが。

文章も演出も酷すぎてシナリオがどうとかいう以前の出来である。

一例として、最初の町で出会った村人たちのセリフを載せておく。

句読点一切なくそこはかとない棒読み感

本当に驚いてる? 感嘆符くらい使いなさいよ

読みにくい!「ひと人」なんて書き方初めて見た…
「一」の漢字フォントが無いなら素直に「ひとり」でいいじゃないか

こんな感じの文章が最後までず~~っと続くので、気が抜けてストーリーがまともに入ってこない。誤字脱字も数え切れないほど多数。

イベント演出もチープで、主人公の秘められた力が覚醒して敵を倒すという序盤の重要シーンでもただ画面が発光して敵のグラフィックが突然消えるというだけ*12キャラクターの動きや効果音、セリフなどは一切ない。お前本当にクロノ・トリガーと同期*13か?

そしてこの淡々としたセリフである

物語の進行もず~っと説明不足で、成り行きで旅を続けて道中では経緯がよくわからないまま襲ってきた敵を倒すというのを繰り返すだけ。ボリュームもあり得ないほど少なく、本記事で短い短い言っているマリオRPGの半分、いや1/3程度のイベントしかない。

もちろん酷いのはセリフやストーリーだけではない。システムに関していえば基本はオーソドックスなコマンド式RPGなのだが、生身の人間の戦闘とは別に操兵同士で戦う戦闘がある。どっちもつまらんのだが。

まず共通の仕様として、出てくる敵は最初のダンジョンだろうがラストダンジョンだろうが一切変わらない。その代わりにこちらのレベルに合わせて出現するモンスターのパターンが設定されている。おかげでダンジョン毎の特色も無く、人が住んでいる屋敷の地下に盗賊が跋扈していたり、街を繋ぐ通路に巨大なドラゴンがウヨウヨいるというおかしな事もしばしば発生する。

まあこれに関しては同じようなシステムを採用しているゲームもあるのでいいとしても、このゲームは何故かあるレベルを境に人間戦で登場する敵が一切金を落とさなくなる。必然的に後半物凄い金欠になるのだが、どういうバランス調整なんだ?ラスボスの前座ですら金を大量にくれるのに*14

あーこの敵は金落とさないのか~ と思ったら次の敵もその次の敵も落とさない。

で、人間戦の戦闘内容なのだが…敵はただ殴ってくるだけである。攻撃にバリエーションがある敵というのを見たことが無い。こちらは攻撃のほかに練法(他ゲームでいう魔法)が使えるのだが、練法の効果の説明がゲーム中確認できない。それどころか説明書にも書いておらず一度使ってみるまで何が起こるか分らないという衝撃の不親切仕様。使ってみても攻撃系の練法は総じて貧弱で、通常攻撃に毛が生えたか生えていないか程度なため別に無くても良い。必然的にこっちも殆ど通常攻撃中心に戦う事になる。駆け引きなどほぼ存在せず、適当に回復を入れながら殴り合い、勝てない敵にはレベル上げをして挑むしかない。

そしてもう一つの戦闘、操兵戦なのだが…これは人間戦が可愛く見えるレベルのクソさ。まずは操兵戦の戦闘画面をご覧いただこう。

操兵戦時は1人パーティとなり、選択できる行動は「殴る」「蹴る」「防御」の3つのみで、最初から最後までこれしかない。どうやら大層なロボットの割に武器の一つも持っていないらしい。

一応それぞれのコマンドを説明すると、「殴る」は低威力の攻撃、「蹴る」は高威力の攻撃、「防御」は選択したターンのダメージ減少だ*15

結論、「蹴る」以外のコマンドは選ぶ必要が無い。「殴る」は弱すぎ、「防御」は溜め攻撃のような物が無いので選ぶ必要が無いからだ。つまり操兵戦は、ただひたすら毎ターン「蹴る」のコマンドを繰り返し、あとは勝てるように祈りを捧げるくらいしかプレイヤーにできることは無い。本当にゲームか?これ。

おまけに言っておくと操兵の能力は主人公のレベルのみに依存する。操兵用の装備や強化パーツといった物は一切無く、これまた勝てない敵にはレベル上げをして挑むしかない。というかこのゲームのプレイ時間の半分以上がレベル上げだったのだが。

ここまででも十分なクソさだが、その他にも…

・ダンジョンが明らかな手抜き。建物であろうが洞窟であろうが遺跡であろうが同じマップチップで、ギミックの一つも無い。

・メニューのレスポンスが大変悪い。ステータス画面を開くときなど約2秒間の暗転が挟まる。ディスク媒体のゲームかよ?

など、悪い点を上げれば枚挙に遑がない。本当に残念なゲーム。

プレイ中も苦行で、クリアした時にはボリュームの少なさにむしろ感謝したほどだ。この内容でこの倍のボリュームがあったら俺はクリアしていなかったかもしれない。

 

 

 

余談1

レベルアップ時の演出。

突然小気味いいSEと共にLEVEL UPというクソデカ文字が右から左に流れてくる。いやデカいよ。

これはちょっと面白いな。

 

 

 

 

余談2

スタッフロール。

おしまい

 

 

*1:ピクセルリマスター版が発売される前に出ていたスマホ移植版にはこれらの追加要素が入っていたらしいが、現在発売は終了している。

*2:逆にアビリティを研究しつくした結果全ボスをレベル1のキャラ1人だけで倒せたという報告も存在しており、いかにアビリティが重要かという事がわかる。

*3:これは妄想です

*4:クリフハンガーって閃の軌跡のせいで嫌いだったんだけど、あれはクリフハンガーが駄目なんじゃなくてただシナリオがつまらなかっただけなんだという事に最近気づいた。

*5:基本的には簡単になっているが、アイテムの種類毎に持てる個数に上限ができたことにより、レッドヨッシーエキスなどのチートアイテムを大量に持ってゴリ押すというズルはできなくなっている。

*6:しかしメーカーの事を知っている人にとっては容易に想像できた。

*7:逆に言えばこれくらい反則級のサポートが無いと少女5人で国家権力やテロリストなど到底相手にできるはずがないので、その理由付けの為に仕方がない部分もある。

*8:このシステムは逆転裁判ダンガンロンパのシステムのルーツと言われている。

*9:あっちはSランク相当のクッッッソ面白かった神作。皆さんはシンフォニアよりもFF10をプレイしてください。

*10:グランヒストリアも似たようなシステムを採用していたが、あれも嫌いだ。

*11:もっとも、終盤になるとこちらも強力な全体攻撃魔法を覚えるので、1コマンドで一掃してしまうようになるのだが…

*12:おまけにBGMは平和な街の音楽

*13:クロノ・トリガーが1995年3月11日発売、真・聖刻が1995年4月21日発売。

*14:そのままゲームクリアとなるので、当然使い道は無い

*15:防御コマンドは一度も選んだことがなかったので気付かなかったが、後で調べたところどうやらバグでダメージ減少の効果は無く、実質的にはターンスキップするだけのコマンドのようだ。だから何だという話なのだが。

2022年にプレイしたゲームの紹介・感想

Aランク<心に残り続けるであろう傑作>

1位.ELDEN RING(Steam / 2022年発売)

www.eldenring.jp

ゲーム紹介

狭間の地と呼ばれる場所が舞台。この地はかつて中央に聳え立つ黄金樹の恵みにより祝福に満ち溢れていた。そしてその祝福を失った者は褪せ人と呼ばれ、狭間の地を追放されていた。

ある時、黄金樹の力の源であるエルデンリングは何者かによって砕かれてしまう。これにより狭間の地を治めるルールである黄金律は失われてしまい、更にはエルデンリングの欠片である大ルーンを手にした者達による戦争が起き、狭間の地は崩壊していく。

それから時は経ち、廃墟と化した狭間の地に主人公である褪せ人は戻ってくる。大ルーンを集め、エルデンリングを修復し、新たなエルデの王となれという何者かの啓示を受けて。

システム面はダークソウルシリーズの正統進化と言えるが、最も大きな違いは数十あるダンジョンと広大なフィールドがシームレスにつながるオープンフィールドが採用されていることであろう*1。シームレスではあったがあくまでダンジョンの連続でしかなかったダークソウルシリーズと比較して移動の自由度や全体のボリュームは大幅に上がっている。

この他ジャンプやしゃがみといった動作が追加されていたり、広大なフィールドでは馬に乗ることで騎乗戦闘ができたりとアクション面でも進化している。

 

感想

・受け継がれるソウルライクの面白さ

本作はソウルシリーズから多くのシステムを受け継いでいる。そしてその面白さも。

道中は死ねば通貨兼経験値であるルーンが失われてしまうという緊張感の中、殺意満点のギミックや死角に潜む大量の雑魚敵の陰に怯えながら進み、ショートカットを開通して安堵し、ボスの前で一息ついたと思いきやその圧倒的な力に心を折られかける。久しぶりの体験だった。

その難易度の為、死んだときには「二度とやらんわこんなクソゲー」と思うものの、ダメージはちゃんと通るし、敵に隙は必ずあるし、自分が相手の攻撃に対してミスさえしなければ勝てるという事は理解できる。その為ついつい何度も挑戦してしまい、少しずつ敵の攻撃パターンを覚えながら上達していき、そして倒した時はそれまで死んだ回数が多ければ多いほど強い喜びと解放感が得られてしまう。その瞬間このゲームの評価は"クソゲー"から"神ゲー"へと反転し、そして次のステージへと足を踏み入れてしまうのだ。

ダンジョンやボスは1つ1つ攻略方法が全く異なるので毎回覚えなおす必要があり、失敗→上達→クリアというサイクルでプレイヤーが成長するという楽しみを1度のプレイの中で何度も何度も味わえる。古典的ではあるが、この1サイクルの質の高さこそがこのゲームの中毒性を生んでおり、数あるコンテンツの中でもソウルライクというジャンルでないと味わえない魅力を感じる。

・オープンフィールドの採用により生まれた、探索する楽しみ

本作はリニア型のストーリー進行を採用している。プレイヤーは最終目的地である黄金樹をゲーム開始時から目にすることができるが、その時点ではどう頑張っても黄金樹にたどり着くことはできない。黄金樹までの道のりは幾つもの障害によって阻まれており、特定のアイテムを入手したりボスを倒すことで道が開けていく。道中各所で発生するパートナーであるメリナや他NPC達との会話イベントで主人公がこれから辿るべき道がそれとなく示されていき、プレイヤーが決められた道を辿ることができるようにデザインされている。

しかしながら、最短距離で攻略しようとするとプレイヤーは広大なフィールドのうち精々2~3割程度の場所しか行く必要がなく、プレイヤーはいつでもこのレールから外れて寄り道をすることができる。例えば強力なボスが現れそれに勝てないと感じた時、プレイヤーは必ずしも何十回と同じボスに挑み続けて死に覚えでテクニックを上達させたりする必要はない。気分転換に広大なフィールドを歩いてみれば宝箱やNPC、ダンジョンの入り口が見つかる。そこには武器防具や技、魔術の他にも戦闘中に仲間を呼び出せる"遺灰"など幾多のアイテムが存在し、それを攻略の助けとすることができる。時にはそれを守護するボスも存在するが、それらは殆どがメインストーリー上のボスよりも弱く、そういったボスを倒すことでプレイヤーに成功体験を積み重させ、メインストーリーを進めるモチベーションを保てるように工夫もされている。この探索要素はメインストーリーのようなヒントはほぼ無くむしろ不親切すぎではと思うくらいなのだが、自力で探さなければならない分見つけた時の喜びや達成感はとても大きい。

今までのソウルシリーズは作り込まれた複雑なダンジョンの攻略と強力なボスとの戦いをひたすら繰り返すというストイックな内容でかなり人を選ぶゲームだった。本作で採用されたオープンフィールド要素は、そういうストイックさを好まない多くのプレイヤーがこのゲームを受け入れるきっかけとなった最も大きな理由だと思う。

・ダンジョン、ボスの使いまわし

数十あるダンジョンと数十居るボスキャラクターだが、後半になるにつれて既視感のあるものが増えてくる。

ダンジョンに関しては流石にそのまんま同じものは出てこないが、"○○洞窟" "○○地下墓"といったダンジョンはそれぞれどれも見た目や雰囲気や登場する敵が似ており、2個目以降は目新しさが無く残念だった。

ボスについては全く同じ名前のボスが多いもので6か所くらいで登場する。それぞれHPや攻撃力が違ったりするが攻略方法は同じなので倒す快感もあまりなく、一度倒した種類のボスが出てくるたび正直がっかりした。

 

総評

もっとも万人受けしそうなソウルライク作品。

これまでのシリーズのようにストイックに攻略するもよし、フィールドを探索することで強力なアイテムや技を手に入れてキャラクターを成長させ、ボス攻略を楽にするという一般のRPG的な楽しみ方をするのもよし。

もっとも、プレイスタイルの幅は広がったがプレイヤーへの親切度の低さという点は変わっていない。HUDは最低限でイベントの進行状況はわからないし、ダンジョンや宝箱は自力で探さなければならず、ボスの攻略法を教えてくれる人物なども存在しない。しかしその分プレイしていてゲームに主導されているという感じが全くせず、自力での達成感というのをこれだけ味わえるゲームは今となっては貴重かもしれない。

 

余談:ぼへまるが最も倒すのに苦しんだボスベスト3

1位.火の巨人(無理すぎてビルドから変えた唯一のボス)

2位.ミケラの刃、マレニア

3位.宿将ニアール

 

Bランク<プレイしてよかった良作>

2位.ChronoBox -クロノボックス-(Windows(R18) / 2017年発売)

product.hobibox.net

ゲーム紹介

ミステリ・ホラー要素の強いADV。

小さな孤島にある学園が舞台。いつもの日常の中、主人公はクラスメイトの少女が無くした黒い箱探しを手伝ったことをきっかけにその少女と結ばれ恋人となる。幸せな日々を過ごす中で、ある時死神のような雰囲気を纏う謎の少女"屍(かばね)"と出会う。その少女の言動に不安と恐怖を覚える主人公の目の前に、突然あの黒い箱が現れる。嫌な予感がする中、箱を開けて中にあるモノを見てしまった主人公は気を失う。目覚めたとき、時間は物語の始まりの日に戻っていた。そしてまたいつもの日常が始まる。一緒に箱探しをした少女の存在が消えた世界で…

謎の少女"屍(かばね)"

ジャンルとしてはループもの。複雑な分岐は一切なくシナリオのルートは一本のみ。都度挿入される行動個所の選択肢(教室、校庭、屋上など)を選びながら物語を進めていく。適切なフラグ回収をすることで物語は次のループへと進んでいく。

 

感想

・先が気になり進める手が止まらないストーリー

スタートから穏やかな日常パートが流れ普通の学園もののような話が展開されるが、その中でも注意して聴くと違和感を感じる部分が至る所に散りばめられていており、そういった部分が気になりだして序盤から物語に引き込まれた。そして毎回ループする前にシリアスなパートに入り何か大きな事件が起きるのだが、日常パートとのメリハリが利いているのもショッキングな展開を際立たせていて良かった。

一回のループ(チャプター)は1時間ほどで終わり、かつチャプター毎にどんどん新たな謎が提示されていくのでとにかく先が気になりサクサク進められた。ループごとに関わるヒロインキャラクターが変わるので同じ展開を何度も見る事がなく、最後までダレることがなかった。
・ミステリ要素

推理ゲームと言う訳ではないのだが、謎が謎を呼ぶストーリーを考察するのが面白い。

この作品に出てくる謎は大きく分けて2つある。1つは主人公視点で見られる謎、つまり屍と黒い箱の正体。もう1つはプレイヤー視点でのみ認識できるもっと大きな謎、つまり変化しながらループする世界の謎である。

主人公はループを認識できていない為、屍と黒い箱に振り回され謎に苦しみながらループを繰り返すが、プレイヤーはループする度に少しずつ変わる世界の変化や屍の言動によって少しずつ謎のヒントを得られるようになっている。ヒントを集めながら色々と真相を推理するのが楽しかった。

最後のチャプターで行われる謎の答え合わせについては実際当たってたのは4割くらいだったが、解らなかった部分も物語を思い出してみれば至る所に伏線は張り巡らされていたので辻褄があっていく瞬間は鳥肌もので気持ち良かった。

・印象的なエンディング

ネタバレを避ける書き方になると表現するのは苦しいが、いわゆる"泣きゲー"アドベンチャーゲームでしばしば見られる定番の悲劇が主人公を襲うのだが、それに対して主人公が最後に出した答えが他の多くのゲームに対するアンチテーゼとなっているところも良かった。美しい終わり方だと思う。

・テンションが違い浮いてしまってるHシーン

シーン開始とともに訪れる突然のキャラ崩壊。ギャグシーン始まったのか!?と思ってしまうほど。シリアスシーンの後だと凄まじい落差を感じるので流石にもうちょい何とかならなかったのかなあと思う。これももしかしたら何かの伏線なのかもしれない…と少しだけ思ってたがそんな事は全く無かった。

・トラウマシーン

ゲーム中盤のとあるシーンで昔のホラー系フラッシュのようなトラウマ演出が挟まれる。心臓に悪いからこういうのはマジでやめろ!!

 

総評

一瞬で引き込まれ、最後まで心を離されず、そして全てを纏め上げるラスト。とてもいい構成のゲームだった。ストーリー面においては今年プレイした中でもNo1の作品。

だけどあのトラウマシーンだけはマジで勘弁。絶対に許さねえ。

 

3位.ポケットモンスター ウルトラサン(3DS / 2017年発売)

www.pokemon.co.jp

ゲーム紹介

ポケモン第七世代。

四つの島で構成された南国アローラ地方が舞台。アローラ地方に引っ越してきた主人公が、子供が一人前に成長するために行われている"島めぐり"という伝統的な儀式に挑戦し、様々な人やポケモンと出会いながらアローラ地方を巡っていく。

これまでのシリーズよりも登場する組織が多いのが特徴で、各島で悪行を繰り返すスカル団、傷ついたポケモンを保護するエーテル財団、素顔も目的も謎に包まれたウルトラ調査隊*2などがストーリーに複雑に絡んでくる。

アローラ地方にはこれまでのポケモンで定番だったポケモンジムが存在しない。代わりに島めぐりを進める為の課題として島ごとに幾つか存在する試練に挑戦することになる。試練の内容はミニゲームに挑戦したり、トレーナーとのポケモンバトルに勝ったり、ぬしポケモンと呼ばれる巨大なポケモンに実力を認めさせたりと色々。最終的には全ての試練をクリアした後、しまキング・しまクイーンというその島で最強のトレーナーに勝つことで次の島に進むことができる。

またもう一つ過去作と大きく違うのはフィールド技の廃止。そらをとぶなみのりといった技をフィールドで使うことができなくなった。その代わりにストーリーを進めていく間にライドポケモンと呼ばれる移動専用のポケモンをいつでも呼び出すことができるようになる。例えばケンタロスを呼びだして乗れば高速で移動しながら"いわくだき"なしで道の上の岩を壊すことができ、ラプラスを呼べば海上を"なみのり"なしで進むことができる。

この他にもZクリスタルというアイテムを持たせることでバトル中に一度だけ使える強力なZワザ、野生ポケモンとの戦闘中に新たにポケモンが出てくる乱入バトル、4人のトレーナーが同時にポケモンを出し合い対戦するバトルロイヤルなど、新たな要素が沢山増えた。

 

感想

・これまでのシリーズとは一味違う新鮮で面白いストーリー

本作のイベント数はBWシリーズ以上で、ストーリーのボリュームはシリーズで1番だろう。これまでのフォーマットを大きく崩した本作は登場するトレーナーキャラクターも独特であり、共に旅立つライバルだが無欲でどこか頼りないハウ、ポケモンバトルに否定的なヒロインのリーリエ、優しい心を持ちながら訳あってスカル団の用心棒をしているグラジオなど、今までに居なかったようなタイプのキャラクターが多い。未熟な面を持った彼らの成長が描かれているストーリー展開は秀逸で、様々な経験を重ねてそれぞれが決意を新たにするシーンは見どころ。更に後半は色々な組織の思惑が入り混じった予想できない意外な展開が続き、最後まで楽しかった。

一番印象に残っているのは伝説のポケモンの登場シーン。これも今までにない驚きの登場の仕方でめちゃくちゃ格好良かった。

大きな不満点を挙げるとするなら、物語の黒幕と言える人物の行動理念が腑に落ちないというか意味不明だった所か。これまでのシリーズのボスたちと違い毅然たる悪役という感じではなく、ただ厄介な行為をしているだけで強敵という感じがしなかった。

・システム変更で快適に

一番良かったのは前述したライドポケモン。これにより本作では攻略の為に特定の技を覚えたポケモンを手持ちに入れておく必要がなくなり、旅パーティの構成に自由度が増えた。

他にもこれまでのシリーズで地味に不便だった要素が数多く改善されていた。下画面で周辺のマップが常に表示できて次の目的地も分かりやすく示してくれたり、ポケモン努力値がステータス画面で一目でわかるようになったり、バトル中に下画面からお互いのポケモンの能力変化や状態変化を確認できたり、攻撃技を選ぶ際にその技が相手ポケモンのタイプに対して有効かどうかの情報が表示されたり…などなど。本作に限った事ではないが、ポケモンは新作の度にこういった細かい改善を重ねて遊びやすくしてくれるのが嬉しい。

 

総評

粗もあるが驚きと感動のあるストーリーと、より自由で快適になったシステムが特徴の良作。XYで簡単になりすぎた難易度も適度に調整されていて良かった。

ポケモンシリーズのこれまでのフォーマット化されていたものを崩した意欲的な作品だが、次回作の剣盾が元の路線に戻った所を見ると否定的な意見が多かったのかなあと思うが、本編でもたまにはこういう作品が出て欲しい。

と言ってもポケモンでストーリードリブンをやろうと思うと名無し無口系主人公作品って所がどうしても足を引っ張るだろうし、これ以上は厳しいか。本作でも奮闘する周りのキャラクター達と喋らず受動的な主人公との対比が際立つ場面が多かったしな…。

殿堂入りパーティ



4位.Monkeys!¡(Windows(R18) / 2021年発売)

harukaze-soft.com

ゲーム紹介

女子校潜入モノのラブコメADV。

男子校に通う主人公は定員割れで廃校の危機に陥った母校を救うため、近くのお嬢様学校との合併を決意する。男子に拒否反応を示す女子たちの考えを変える為、主人公は女装してお嬢様学校に女子として潜入し、男子のイメージアップを図っていきながらそこに通う女子達と交流を深めていく。コメディ全開のシナリオ。

イラストレーターのcake氏はエロゲ畑の人ではなく、商業漫画を描いていた経験もある人。CGはいわゆるエロゲ塗り系ではないのと、漫画のコマ割りのようなCGが多数存在するのが本作の特徴。

感想

・テンポの良い会話劇が笑える
年を重ねる毎にラノベやギャルゲで挟まれるギャグ系のノリが辛くなり、3年くらい前に抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?をプレイして途中リタイアした時に「俺はもうこういうジャンルは無理だな…」と思っていたが、このライターの文章は本当に面白かった。とにかくバカっぽい男子校サイド、やること全部滅茶苦茶な女子校サイド共に個性が強いキャラばかりで、そんなキャラ達がテンポよく繰り広げるドタバタコメディは一度ハマれば終始笑ってしまう。

また、安易に時事ネタとかパロディ、ネットミームとかに手を出さず勝負していたと思うのでそこも好感度高い。
シナリオ最終盤は一転して笑いを忘れるシリアスな展開になったが、やっぱり終始ギャグだけでは物語が中々締まらないのでそれは良いアクセントだったと思う。特に最後のメインヒロインと"とある人物"との対決は胸が熱くなった。

・女子校潜入モノとして見ると微妙

ジャンルとしては一応女子校潜入モノに入るだろうだが、主人公は女子校に通いつつも同時に男子姿で男子校にも通うという変則的なフォーマットをとっている。
その為半分は男子姿の立ち絵やCGを拝むことになる訳で、女子校潜入モノの中では邪道という見方も多いだろう。自分も事前情報からそこらへんはまあ諦めてプレイしていたのだが、主人公以外にも男性キャラは多数登場するので女子校潜入モノ特有の画面の華やかさは見られず、性別バレ防止に奔走する展開も少なくバレた後の展開もあっさりしているので、その点はやはり残念だった。ensembleのゲームのように女子校潜入モノというシチュエーションにこだわりを持ったストーリーと言う訳ではない。

 

総評

ゲームの文章で声を出して笑ったのはいつぶりかわからない。こういうノリが苦手だと思っていた自分にとってエポックメイキング的な作品になった。今後コメディシナリオを読む際はしばらく引き合いに出し続けるかもしれない。

同じライターのノラと皇女と野良猫ハートシリーズも気になってきたのでいつかプレイするかも。

 

5位.ポケモンカードGB2 GR団参上!(GB / 2001年発売)

www.pokemon.co.jp

ゲーム紹介

ポケモンカードを題材にしたポケモンカードGBの続編。なぜかバーチャルコンソールやSwitch Onlineで一切配信されていない。2023年現在ではプレミア値が付いている。

前作は8つのタイプのクラブ*3を攻略し、4人のグランドマスター*4に勝てばエンディングという原作ポケモンを踏襲したシンプルな内容だったが、本作ではGR(グレートロケット)団という悪の組織が登場。各地のクラブを占拠、グランドマスターを誘拐しカードを略奪するなど非道を尽くす彼らを倒し改心させることが物語の目的となる。

カード収録枚数は前作の約二倍の441枚と大幅アップ。ストーリーのボリュームも増加し、対戦相手のバリエーションも豊富であり、寄り道要素のゲームコーナーができたりと前作より様々な点で進化している。

 

感想

・初期環境ポケモンカードシミュレータとしての優秀さ

この頃のTCGをテーマとしたゲームと言えば、PS1のデジモンカード、GBのメダロット遊戯王シリーズなど、ルールが実際のTCGから大きく改変、簡略化されているようなゲームが多い。しかし本作は元のポケモンカードのルールがシンプルだからか、元のルールがかなり再現されている。

前作と同じで、シンプルでわかりやすく奥が深いポケモンカードの面白さをそのまま味わうことができる。ゲームボーイソフトという事もあり対戦中の演出もシンプルでテンポよく進むので快適。インタフェースについてもドット数が限られた中でアイコンを多用して文字情報を減らすなどして見やすく工夫されている。

現行ルールとは違う初期環境なので特有のガバガバさもあるがそれが良く(勿論対人となると話は違うだろうが)、トレーナーカードにドローソースやサーチ・サルベージカードが豊富なのでパワーカードや自分で考えた最強コンボをどんどん相手に叩きつけることができるのは快感。

手札30枚vs15枚という状況が起きるゲーム

CPU1人に勝つ度に10枚入りのカードパックが2つ貰えるのでカード収集も苦にならない。惜しむべきはどのキャラからどのパックが貰えるのかという事が一度勝つまで分からない点と、ゲーム内で確認できるパック毎の収録カードリストが実際に入手したカードについてしかオープンされない点あたりか。欲しい特定のカードがある場合はネット検索必須。

・クリア後に戦えるガチデッキとの対戦が楽しい

前述したとおりボリュームは前作の2倍ほどになり、ゲーム中に対戦できるデッキは7~80個程もある。その中でもクリア後の隠しエリアで戦えるカードマスター達との対戦はかなりやり応えがある。

最速2ターン目に「ともだちのわ」で60ダメージという高火力を出せるプクリンLv36デッキ、ゴースLV13やわるいラフレシアLV29の効果でトレーナーカードを完封するデッキ、わずか3エネルギーで70ダメージを無差別にぶつけてくる悪名高いサンダーLv68デッキ、ポケモン育て屋さんの効果でカメックスLV52を出し特殊能力あまごいの効果で超加速するデッキなど、紙では殿堂入り*5に指定されているカードを複数毎積んでいるような倒しがいのある強力デッキを使ってくる。クリア前は特にカード集めをせず入手したカードの中から適宜組み替えていくだけで特に詰まることなく進められたのだが、流石にこれらのデッキはそうもいかず、カードを集めて試行錯誤しながらデッキビルドしていくことになったのだが、その過程が楽しかった。

・特別ルールという名の縛りプレイの強要が辛い

前作にはなかった要素として、後半のGR団との戦いにおいては特別ルールという名の縛りプレイが課される。

特別ルールには大きく分けて二種類ある。一つは試合ルールの変更。場にポケモンを出せる数が少なかったり、特定タイプのポケモンの弱点が無くなったりする。もう一つはデッキ構築の制限。例えばピカチュウ4枚をデッキに入れなければならなかったり、逆に炎エネルギー以外のエネルギーカードを入れられなかったりする。

特に厄介なのが後者。マンネリ対策だろうが、やはり自由なデッキで戦えないストレスは溜まるし、一人一人倒すごとにデッキを作り替えないといけない煩わしさも感じる。また特定のカードを入れろという癖にそのカードをくれる訳でもない不親切な人ばかりなので、カード自体を持っていない場合そのカードを引き当てる所からやらないといけないのが大変。

 

総評

ストーリー面の楽しさはあまりないが、面白くてテンポのいいカードゲームで豊富な対戦相手と戦える良いゲーム。

ポケモンカードの知識がほぼ無かった自分がカードプールとにらめっこしながらクリア後の強力デッキと戦う為に作ったデッキを以下に載せる。エネルギーリムーブで耐えに耐えて相手のデッキ切れを狙う。エネルギーリムーブを含めたトレーナーカードはヤドンLv18のゴミあさりで使いまわす。自分のデッキ切れは夜の廃品回収で防ぐ。

ぼへまるスペシャ

悪名高いサンダーLv68デッキやプクリンLv36デッキに対して優位に戦える一方、カメックスLv40デッキに対しては相性が悪く、わるいラフレシアLv29といった致命的な弱点もある。このテンポのいいゲームの中で1勝するのに一番時間がかかるんじゃないかと思う逆張りデッキ。

 

Cランク<悪くはない>

6位. グリザイアの果実Windows(R18) / 2011年発売)

frontwing.jp

アニメ化もされたそこそこ有名なADV。三部作の一作目。

過去の事件により特殊な環境下で生きてきた主人公は、普通の学園生活を送りたいという理由でとある学園に転入する。しかしその学園に通うのは、明らかに普通ではない5人の少女たちだった。心の中に苦しみを抱えた少女たちとの触れ合いの中で、主人公と少女達は一度失った生きる希望をもう一度取り戻していく。

共通ルートは学園生活を中心にコメディ調で、個別ルートはヒロインの過去話とそのトラウマからの脱却をシリアスに描く。

実は過去2回プレイしたことがあるが、いずれも共通ルートでリタイアしていた。友人からも個別ルートに入れば面白いよという話は聞いていたのだが、どうにも共通ルートが退屈で仕方なかった。

しかし実際個別ルートに入ってみると確かにどのルートも良かった。特に良かったのは天音ルート"エンジェリック・ハウル"。バス転落事故というシチュエーションで、最初はぎこちないながらも協力して助かろうとしていた女学生たちが次第に追い詰められていき、やがて狂気に走るまでの過程が丁寧に描かれていて面白かった。

一方、謎が多い主人公についてはその過去も殆ど明かされず、発言も少々ムカつく物が多くてあまり好きになれなかった。この辺りについては次作でまた評価が変わってくる。

一番好きなキャラクターはヒロインじゃなくて姉ちゃん。

 

7位. パンドラの塔 君のもとへ帰るまでWii / 2011年発売)

www.nintendo.co.jp

アクションRPG
国を挙げた祭りの最中、巫女として歌を捧げていたヒロインは突然醜い化け物の姿に変わる呪いを受けてしまう。彼女に命を救われた過去を持つ主人公は、謎の老人から封印された地にある13の塔に棲む"主"と呼ばれる怪物の肉をヒロインに食べさせる事で呪いが解ける事を聞き、彼女を救うために13の塔を攻略する。

このゲームを象徴するのがリアルタイムで怪物化していくヒロインである。攻略中もどんどんヒロインの怪物化は進行していき、最初は顔の一部と片腕が変化するくらいだったのが、放っておくと全身が変化して人だった頃の面影が殆ど無くなってしまう。"下僕"と呼ばれる雑魚敵の肉を食べさせる事で一時的に怪物化を抑えることができるが、ヒロインを放置しすぎると完全に怪物となって即ゲームオーバーとなってしまう。

怪物化していくヒロイン

このヒロインが怪物になるシチュエーションやそのビジュアルはかなり好みだった。特に信仰している宗教の戒律から生まれてから肉食をしたことがないという設定をつけてヒロインの苦しみを跳ね上げてるのは開発者の性癖が感じられてよかった。

だんだん肉に慣れ、最後は自分から嬉々として食べるようになる過程も見もの。

町やフィールドといった物は無く、ゲーム中は主人公とヒロインの2人が住む拠点とダンジョンとの往復の繰り返しとなる。僅か13ダンジョンをクリアするだけの内容だが決してボリュームが少ない訳ではない。1つ1つのダンジョンは謎解き要素がふんだんに詰め込まれており、かつ前述したヒロインの怪物化を防ぐために攻略中も定期的に拠点に戻りつつのプレイになる為、クリアには30時間弱かかった。

拠点ではヒロインと会話したりプレゼントをしたりすることができ、その内容によってヒロインの好感度が増減し、好感度が上がると特殊なイベントが発生したり、エンディングの内容が変わるといったギャルゲー的な要素もある。エンディングのランクによって主人公やヒロインらの運命が変わるほか、最高ランクのエンディングを見ないとそもそも何故ヒロインが呪いを受けたのかという事や、主人公の出自の秘密といった物語の真相がわからないようになっている。

アクション面については主人公のメイン武器が鎖という点が独特で、攻撃に使うだけではなく、物を引き寄せたり遠くに投げたり、フックショットのように移動に使ったりと様々なアクションが楽しめる。アクションや謎解きのバリエーションは滅茶苦茶多く、塔ごとに新たな仕掛けや敵が出てくるので最後まで飽きる事なく楽しめた。しかし、鎖を使ってアクション出来るポイントがカーソルを合わせてみるまで分からなかったり、カメラアングルがキャラの位置によって切り替わる固定カメラのせいで戦闘中に予期していないタイミングで突然切り替わって困ったり、鎖を使ってターザンロープのように移動するギミックが頻出するのだが、その方向転換の操作性が劣悪だったり…などなど細かい点ではストレスを感じる要素は多数あった。
ギミック攻略はなかなか難しい反面戦闘の難易度はかなり低く、もう少し手ごたえが欲しかった。特にボスの攻撃力はやたらと低いのでやられそうになる緊張感は全く無かった。

 

8位. テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット (PS2 / 2008年発売)

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テイルズオブシリーズ2作目のリメイク。

ソーディアンという意思を持ち喋る不思議な剣に選ばれた者達の物語。主人公は偶然ソーディアンからその使い手として選ばれ、旅の途中同じようにソーディアンに選ばれた仲間たちと出会い、やがて地上の存亡をかけた戦いへと巻き込まれていく。

リメイクされた本作DC版は戦闘システムが大きく変わり、特技の使用方法がTP制*6から攻撃する度にゲージがチャージされていくチェインキャパを消費するシステムに変わった。これにより戦闘中にリソースを気にすることなく特技がガンガン使い放題となった為、回復の為に攻撃技を温存しなくてもよくなったり、長いダンジョンでボス戦の為にTP管理を考えたりというストレスが無くなってとても快適だった。
またコンボ攻撃が繋げやすくなり、かつ戦闘における重要性が上がっている。大量のコンボが繋がった時は快感で、ボスに対して100コンボくらい繋げて何もさせずに倒した時はとても気持ち良かった。
総じて戦闘面では圧倒的に前作ファンタジアよりも面白かった。

かなりボリュームのあるストーリーだったが、やはり印象に残るのはキャラクター。隠しキャラを除いてもパーティメンバーが8人もおり、また5本のソーディアン達も人間と同じように意思を持ち会話する為、パーティはかなりの大所帯である。それでも空気と呼ばれるようなキャラはおらず大量のスキットやストーリーイベントでそれぞれに見せ場が作られている。

特にリオン。彼が人気キャラだという事はだけは事前知識として何となく知っていたが、あの退場の仕方を見てそう言われている理由はわかった。薄幸のツンデレ美少年なんて皆好きだしな…。

しかしDC版で本編とは別に追加されたリオン編に関しては、リオンが退場するまでのストーリーをリオン視点で進めるという物だが、大筋が本編と同じなので一度本編をクリアした後だとほとんど同じ内容を見るだけなので進めるのが怠く、単純にリオン編で追加されたイベントを本編に入れるだけで良かったのでは?と思った。

あとラストダンジョンだけ異常に難しいのはやめて欲しい。残るはラスボスを倒してエンディング見るだけだな!とせっかく盛り上がっていたのに、クソ長い・ギミックがクソ難しい・敵がクソ強い、と三拍子揃ったクソマップをぶつけられるなど最悪。ラスボスに辿り着く前に気持ちが冷めてしまった。FF3の事思い出したわ。

 

9位. ポケットモンスター ブラック2 (DS / 2012年発売)

www.pokemon.co.jp

去年プレイしたポケモンブラックの続編。

時系列的には前作の2年後となり主人公とライバルは一新したが、その他の登場人物や地方、登場ポケモンなどはほぼ変わっておらず、ストーリーだけ変わったマイナーチェンジ版という印象は強く新鮮味はあまり感じられなかった*7

前作に引き続き、悪の組織との戦いを通して人とポケモンとの関係性はどうあるべきかといった問題点に切り込んだポケモンらしくない重いストーリー展開。流石に前作のようにチャンピオンになる事そっちのけで伝説のポケモンとのイベントが終わったらエンディングが流れる、という事はなかったが…。

本作を遊び終えて、BWシリーズはポケモンシリーズの中でも異色のストーリーの作品であるという事を再認識した。ポケモンという生き物は今までプレイヤーにとって当たり前のようにボールの中に捕まえられる存在として描かれていたが、それを問題提起しつつも、どういう形が最適なのか?という点についてはタイトルに反して"白黒"つけずプレイヤーにその事を考えさせる事で、プレイヤーの中でポケモンという存在を再定義させその解像度を上げることに成功していると思う。

また、本作で初登場したアクロマというキャラクターはかなり好きで印象に残っている。敵組織の幹部でありながら大義名分や善と悪という概念を持っていないイレギュラーな人物で、自分の欲求至上で行動する様は気持ちが見ていて気持ちがいい。

クリア時のパーティ。

 

10位. テイルズ オブ エターニアPSP / 2005年発売)

www.bandainamcoent.co.jp

テイルズオブシリーズ3作目。

インフェリアとセレスティアという2つの異世界が隣り合った世界、インフェリアに住む主人公がセレスティアからやってきたという少女と出会う所から物語は始まる。主人公は肌の色も違い言葉も通じないその少女から2つの世界を衝突させようと企む者がいる事を伝えられ、民族間の偏見や対立を越え、2つの世界を股にかけて世界を救う為に奔走する。

これまでの2作品に比べて主人公達は精神的に幼い面が強調されており、彼らの抱える問題の解決と成長が展開の主軸になっているあたりはテイルズらしい。相変わらずキャラクターはよく立っているし、ストーリー展開的に退屈はしなかったが、前作デスティニーのような大きな盛り上がり所がある訳でもなく特にどこが面白かったという事もない話だった。

戦闘システムはファンタジアクロスエディションとほぼ同じでこちらもハードモードでクリアしたが、あちらと違って理不尽さは感じなかったのでバランス点においてはこちらの方がよっぽど良いと思った。

総じて欠点は無いが、何かあえて書きたいほど優れた点がある訳でもない作品。

 

11位. ミスティックアーク (SFC / 1995年発売)

www.jp.square-enix.com

独特な世界観のファンタジーRPG

素性不明の主人公が無人島で目覚める所から物語は始まる。女神と名乗る声の導きに従い無人島にただ一つある神殿から7つの異世界へ旅立ち、主人公が本来居るべき世界へ戻る為に必要な7つの「アーク」と呼ばれる力を集めていく。

7つの世界はどれもがちょっと変で、「砂漠の上で猫の海賊同士が戦争をしている世界」「音や色、時間が存在しない世界」「シンデレラやオズの魔法使い赤ずきんなどといった多くの童話が滅茶苦茶に入り混じった世界」など、設定も登場する人物もかなり個性的で楽しい。その一方で主人公や途中でパーティに入れられる仲間キャラはオープニングからエンディングまで一言もしゃべらないのが寂しい。ただ、ホラーがテーマの「闇の世界」においてはそれが恐怖をより引き立てる演出にもなっていたように感じる。

基本システムはオーソドックスなコマンド選択式RPGなのだが、様々なオブジェクトを調べることで画面が切り替わり、謎解きアドベンチャーのようなモードになるのが面白い。また寄り道要素にも力が入れられており、ナイト・ツアー、魔法陣、スライドパズルなど多数のミニゲームが用意されていて、息抜きに丁度良かった。

アドベンチャーモード

一方、戦闘は初期のドラクエ以下と言っていい程シンプルな殴り合い。レベル上げも必要なく最後まで補助呪文をかけた物理攻撃中心でクリアできた。難易度も低くあまり面白くない。

あとインタフェースが古臭いドラクエライクで快適性は低い。SFCも末期に近い時期のゲームで、この時代のゲームと言えば大抵インタフェースが洗練されてきて使いやすくなっているものだが、もしかしてエニックスから開発会社への発注でもあったのだろうか。

 

12位. THE 裁判員 〜1つの真実、6つの答え〜 (DS / 2009年発売)

www.d3p.co.jp

裁判員制度をテーマにしたアドベンチャーゲーム

幽霊となった主人公が、自分を殺した通り魔が裁判で無罪となった事をきっかけとして、ヤマヤマ4号という謎の妖精(?)の力を借りながら間違った裁判を無くすために様々な裁判の裁判員に憑依して正しい判決に導く、といった感じの話。全五話構成。

裁判員制度で正しい判決の為に奔走するゲームでありながら、途中裁判員制度自体に疑問を投げかけたり、ひいては裁判という物自体に疑問を投げかける場面もあるテーマ性の強い作品という側面もある。

裁判員裁判をテーマにしたゲームとしては「有罪×無罪*8」があるが、あちらは真相を探る推理要素がメインだった。それに対してこちらは裁判開始時にヤマヤマ4号の力で被告人が黒か白かは判っており、推理をするのではなく評議で裁判員と裁判官に対して適切な話題を投げかけて説得するという内容になっている。

評議のシステムとしては、法廷パートで入手した情報の中から有用そうな情報を選んで裁判官1人1人にぶつけて説得ゲージを上げるというものになっているが、説得力のある情報にはヒントメッセージが出てるのでわかりやすく、難易度も高くないのでクリアに困る事は無く正直つまらない。

裁判官を説得してゲージを溜めていく

選んだ裁判員に説得材料をぶつける

評価したいのはシステム面よりもストーリー面。

5つのエピソードを通しながら主人公の悔いを消していくという流れなのだが、最終話は主人公の死の真相やヤマヤマ4号の正体と言った謎が明らかになり、かなりの盛り上がりを見せるものの、その事件の決着はどこか悲しくてエンディングで成仏を迎える主人公の運命と共にどこかやりきれない思いを抱いたままプレイを終えた。終わった後にその後について色々と考えてしまうような、非常に余韻の残し方が上手いゲームであった。

 

13位. ポケットモンスター シールド (Switch / 2019年発売)

www.pokemon.co.jp

ハードが変わってこれまた大きく印象が変わったポケモン第八世代。

ストーリーはこれまでのシリーズと比べてもかなりシンプルになった。これまでのシリーズで定番だったストーリー中に悪の組織と戦うという部分はほぼ無くなり*9、8つのジムを攻略してチャンピオンになるという事に目的は首尾一貫する。だからと言ってボリュームが減ったという印象は無く、その分チャンピオンとの交流が増えたり、ジムリーダーにもより強いキャラクター付けがされてイベントが増え、ストーリー最後には再戦の機会も設けられているなど、これまで薄かった要素が深堀りされている。まあ個人的にはウルトラサンのようなストーリーの方が好きなのは間違いないが…。

ポケモンのグラフィックはポケモンスタジアムのようなよりリアルな路線に変わったが、正直3DS時代の方が好みだった。ポケモンによってはイラストとの印象がかなり違って違和感を覚える。

新たな要素であるダイマックスはHPと技が強化される代わりに3ターンという時間制限があり、相手のダイマックスターンをどう凌ぐか、こちらのダイマックスをいつ切るのかという事を考えながら戦うのが楽しかった。メガシンカと違い全ポケモンに使用できるという点も良かった。もっとも自分のパーティではカマスジョー専用になっていたが。

 

その一方で一部のポケモンや技、メガシンカやZ技というシステムがリストラされたが、前作の時点で既に色々と複雑になりすぎているような感じはしていたし、シリーズのマンネリを無くす意味でも必要な事だと思うので個人的にはあまり不満はない。

微妙だったのがワイルドエリア。作中序盤で訪れることができる広めのオープンワールドライクなエリアなのだが、初見での探索こそ多種多様なポケモンとの出会いやダイマックスポケモンとのレイドバトル、有用なわざレコードなどを売ってくれるショップなどを探すのが楽しかったが、レイドバトルで強力なダイマックスポケモンを倒すためにはCPUでは力不足*10でそれ用のポケモンを育成しなくてはならなかったり、ショップを利用するためには専用通貨を集める為のマラソンをしなくてはならなかったりと色々と面倒くさい。あと折角欲しいポケモンを見つけてもバッジ数による捕獲制限でストーリーを進めるまで手に入らないシステムだったのはがっかりした。

後はエンカウントのシステムが気に入らない。ポケモンは他のRPGと違って野生のモンスターを捕まえるという要素がある為、特定のモンスターを狙って雑魚戦闘をするという事が多い。なのでエンカウントをコントロールしやすいシンボルエンカウントの導入はかなり嬉しいが、その一方でランダムエンカウントも廃止されていないので、目的ポケモンのシンボル発見→近づく途中でランダムエンカウント発生という事が多々あった。この問題はランダムエンカウントのみを抑制する仕様となったむしよけスプレーを使えば解決できるが、この仕様はこの仕様で問題がある。本作のマップはワイルドエリアを除けばかなり細い道路が多く、シンボルエンカウントを完全に回避することが難しい。なのでこれまではスプレーを使う事で簡単にできたエンカウントの完全回避がこの仕様変更でほぼ不可能となってしまった。他にも海上サメハダーなど、エンカウント周りでストレスが溜まることが多かった。

 

13位. テイルズ オブ ファンタジア クロスエディション (PSP / 2010年発売)

tales-ch.jp

PSPテイルズオブファンタジアに新要素を追加した作品。厳密に言えば独立した作品ではなくテイルズオブファンタジア なりきりダンジョンXという作品の中に収録されている。

何となく明るそうな見た目に反してストーリーはシリアスで、特に序盤は主人公達に降りかかる災難の重さに少し面食らってしまった。故郷の村を滅ぼされたことをきっかけに人類の脅威である魔王を倒す旅に出るというシンプルな流れながらも、過去や未来へタイムトラベルしながら魔王を追う展開や、魔王を倒して終わったと思いきやまだ続く展開など、単純なよくある話という訳でもない。

まあぶっちゃけそれ程面白い話では無かったが、代わりにキャラクターの事は印象に残っている。ストーリー中もキャラクターの内面に触れるイベントが多く、また本筋とは別にパーティメンバー同士の様々な会話が楽しめるスキット機能*11などもあって自然とキャラクターに親しみを覚えられるような作りになっていた。

戦闘に関してはハードモードで全編クリアしたのだがとにかく難しかった印象。2Dフィールドを縦横に動くアクション要素の強い戦闘に慣れていなかったせいもあると思うが敵の攻撃がやたら激しく、HPが最大であろうと前後に挟まれでもしたら一瞬でやられてしまう。特に大変だったのは中盤のイシュラント戦。敵が使うファイアストームという術の攻撃範囲と攻撃力が凄まじく2発撃たれるとどうあがいても全滅、かつ直前のセーブポイントでセーブしたが最後、こいつを倒すまでレベル上げや買い物もできないという状況で何度やり直しになったかわからない。逆に終盤こちらがファイアストームを覚えてしまうと、仲間をこれを連発する設定にしているだけで耐性を持つ敵以外は楽にクリアできるというのはバランスが悪くないか。

 

15位. テニスの王子様 カードハンター (PS2 / 2007年発売)

テニプリTCGデジタルゲーム化作品。

かつてそれなりに長い間商品展開されていたことは知っていたのにリアルでプレイしていた経験のある人をこれまで1人も見たことがない、自分にとっての謎TCGだった作品。事前知識0の状態でプレイ。

テニプリTCGの超ざっくりルール紹介

事前準備

プレイヤーは40枚のカードで構成されたデッキを用意。

勝利条件

4ポイントを先取する。

基本的な対戦の流れ

以下の流れを自分か相手が勝利条件を満たすまで繰り返す。

 

1.自分のデッキの中から任意のキャラクターカードを1枚選んで場(コート)に置き、シャッフルしたデッキから手札を引いてゲーム開始。

ターン開始時にターンプレイヤーはデッキからカードを引く。

2.ターンプレイヤーはボールを打つためのストロークカードを1枚手札から選び、場に出す。キャラクターカードに記載されたパワー値と、ストロークカードに記載されたパワーの合計値をボールの威力とする。
3.ターンを移行する。次のターンプレイヤーはボールの威力が前のターン以上となるようにストロークカードを出さなければならない。
4.上記3.を、どちらかのプレイヤーが出せなくなるまで繰り返す。
5.ストロークカードを出せなくなった場合は、相手に1ポイント。ボールの威力を0に戻して再び2.に戻る。

カードの種類

<キャラクターカード>

場に1枚だけ出せる。4つの能力と、特殊効果が記載されている。

パワー(左上):ボールの威力を決定するための値。

レーニング(右上):後述するトレーニングカードを付ける為の値。

スタミナ(左下):初期手札の枚数。またこの数の2倍が手札上限枚数となる。

スピード(右下):ターン開始時にデッキからカードを引ける枚数。

ストロークカード>

球種とパワーと特殊効果が記載されている。

ラリーの1球目専用のサーブのカード、パワーは高いが特定の球種しか打ち返せないスマッシュカード、パワーは弱いがハンデスやドローなどの強力な特殊効果が付いているドロップカード、パワーと効果のバランスが取れたグラウンドストロークカードなどが存在する。

<トレーニングカード>

自分のターンに1枚ずつキャラクターカードにつけて出すことができ、能力を強化したりする遊戯王の装備カードに近いカード。複数枚出せるが、右上に必要トレーニング値が書かれており、”トレーニングカードの必要トレーニング値の合計≦キャラクターカードのトレーニング値”となるようにしか出せない。

<リアクションカード>

自分のターンに場に1枚だけ伏せて出すことができ、条件が揃った時に発動できる遊戯王の罠カードに近いカード。

<シーンカード>

自分のターン終了前のフェイズに1枚だけ使える様々な効果を持ったカード。

ストーリーは無いに等しく、ひたすら対戦相手を選択して規定数勝ったら次のステージに行くというだけの流れが最後まで続くというカードゲーム要素に全振りのゲームとなっている。テニプリのゲームと言えばキャラクターとのコミュニケーションを楽しむアドベンチャー要素が強めなイメージだったので少し驚いた。一応ゲーム開始時にチュートリアルとして青学or氷帝or立海を選択して部員たちの手ほどきを受けながらカードゲームを学ぶイベントもあるが、イベントらしいイベントがこれだけしかないのは流石に寂しい。しかしキャラクターは50人以上登場し、対戦デッキが豊富なのは評価できる。

ここからはTCG要素の問題点。テニスのラリーという要素が上手くシステムに取り入れられており、また開発がコナミという事で遊戯王で培ったと思われる駆け引き要素もあり、中々面白いルールとなっている。最大の欠点は1試合にかかる時間。ゲームシステム的に1ターンに引けるカード枚数が多い関係上1ターンのプレイに大体1分はかかり、1ラリーが終わってポイントが入るまでに4~5ターン以上はかかるので1試合に30分以上は普通にかかる。それだけでも大変だが、更なる問題点として1試合ごとに貰えるゲーム内通貨がギリギリ1パック買えるか買えないか程度しかないので、カード集めがとてつもなく面倒。最終的にカード集めはあまりせず初期デッキのアップデート版のようなデッキでクリアしたので、デッキ構築の楽しみはあまり味わえなかった。

まあ一日にずーっとやってると苦しくなるが、1,2試合くらいなら楽しく遊べるゲームだと思う。

 

16位. 真愛の百合は赤く染まる (Windows(R18)/ 2019年発売)

bug-system.com

狂気をテーマにした百合ADV。

序盤はヒロインと主人公が関係を深めていく普通の学園百合ゲーといった展開であまり面白いとは思わなかったが、時折挟まれる何者かによる不穏なモノローグ、そして次第に明るみになっていくヒロインの異常性など、次第に物語が少しずつおかしな方向に進んでいく部分はホラーテイストも入ってきて面白かった。
ルート分岐をしてからはほぼ猟奇的でバイオレンスなシーンがメインとなってしまっており、シナリオ的な面白さは無くなってしまったので残念。しかしバッドエンドばかりで終わらせるのではなく、どうやったら修正不可能な異常性を持ったヒロインと自分も周りも含めて一緒に幸せになることができるかという問題に対して主人公がトゥルーエンドで取った選択はこの手のゲームでは中々見られない展開で非常に良かったので印象に残っている。
個人的には百合シーンも猟奇的シーンも特に性癖には合わなかったので優子の強姦シーンしか使えなかったが、そのシーンはかなーり良かった。

好きなキャラ、優子。ルートによっては主人公を差し置いて出ずっぱりとなる。
とても重要な秘密を抱えている。

 

17位. 金色のガッシュベル!! ザ・カードバトル for GBAGBA / 2005年発売)

ガッシュTCGデジタルゲーム化作品。

ストーリーはガッシュがカード片手に街中のキャラクター達と次々に対戦していくだけというあってないようなもの。

ガッシュTCGはカードゲームとしては他に類を見ない独特のルールが特徴。

ガッシュTCGの超ざっくりルール紹介

事前準備

プレイヤーは32枚のカードで構成された魔本という名のカードファイル(=デッキ)を用意。魔本には1ページに1枚のカードが入り、32枚のカード順番はプレイヤーが決める

勝利条件

・相手の魔本のページが尽きる

・相手の場及び残りの魔本のページの中に魔物カードが居ない状態になる

基本的な対戦の流れ

以下の流れを自分か相手が勝利条件を満たすまで繰り返す。

ここでの"めくる"とは、先の見開きに進む事を意味する。前には戻せない。

 

1.魔本の1ページ目から魔物カードを場に出し、魔本を1枚めくってゲームスタート。以降はその時点の見開き2ページの中からのみカードをプレイできる。

2.ターン開始時にターンプレイヤーは0~3枚自分の魔本をめくる。

3.ターンプレイヤーは自分の場の魔物に対応する攻撃術カードがある場合、宣言して使う事ができる。

4.攻撃術を受けた相手は自分の場の魔物に対応する防御術カードがある場合、宣言して使う事ができる。その場合、それぞれ「魔物の魔力値+術の魔力値」を計算し、防御側の合計魔力値が上回った場合は攻撃が無効となる。

5.攻撃に成功した場合、攻撃を受けた相手は下記のどちらかを選ぶ。

・攻撃術カードに記載されたダメージの数だけ、魔本をめくる

・自分の場の魔物1体に1ダメージ(魔物の体力は共通で2で、0になると捨て札)

6.魔本を1枚めくり、ターンプレイヤーが変わって2.に戻る。

カードの種類

<魔物カード>

魔力や特殊効果が記載されている。場に3枚まで出せる。

<術カード>

魔物が使う術のカード。魔力や特殊効果や使うことができる魔物、攻撃/防御用を表すアイコン、相手へのダメージ数などが記載されている。魔本から出さずに相手に見せて使う。

<パートナーカード>

人間のカード。対応する魔物や特殊効果が記載されている。対応する魔物カード1枚につき1枚場に出せる。

<イベントカード>

原作の出来事を切り取ったカード。攻撃/防御用を表すアイコンや特殊効果が記載されている。術とおなじく魔本から出さずに使うが、魔物の指定無く使える。

十数年前にリアルカードを少しだけプレイしていたが、あらためてプレイしてみると手札が存在せずカードの順番を固定したデッキで戦うというのは他のTCGにはないゲーム性で新鮮だった。引きというランダム要素が存在しないのでカード間のコンボを決めやすく、カードプールを眺めながらデッキを考えるのはとても楽しかった。

しかしながらゲームとしての問題が目立つ。

まず敵のAIがゴミすぎる。《月の石》*12が出ているのに毎ターン無意味に術を打ってきたり、ターン開始時に魔本に今使用できないカードしかなかったとしても魔本をめくらなかったりと、無駄としか思えないプレイングをする。カードが足りない序盤こそ負けたりしたが、後半は十数ページ差くらいで勝つようになってしまって全く手ごたえが無かった。

またストーリーがペラペラで対戦できるデッキが隠しキャラを合わせても10種類くらいしかなく、一人で遊ぶには余りにもボリューム不足。ランダム要素が先手後手の決定やコイントスで決まるカードの効果くらいしかなく同じデッキと何回やっても結果が固定化されるというカードゲーム自体の問題点とも合わさって、一瞬でやることが無くなってしまう。

それと収録カードが歯抜けだったのも残念。リアルカードをプレイしていた時は石板魔物編で、《パムーン》を使っていたがこのゲームには収録されていなかったので思い出再現もできなかった。

 

Dランク<遊べなくはないが、つまらない>

18位. ポケットモンスター Y3DS / 2013年発売)

www.pokemon.co.jp

ポケモン第六世代。

第四世代のマイナーチェンジ感が強かった第五世代とは違い、見た目も中身も大きく変わった。

ここからポケモンが3Dで描画されるようになったのだが、色の付け方や輪郭の線の付け方などがイラスト風になっていて全く違和感なく受け入れられた。戦闘中のアニメーションもバリエーションが豊富になり、見ているのも楽しくなった。

システム面でも主人公のキャラメイク、ポケモンの新タイプ追加、戦闘中にポケモンを強化できるメガシンカ、何が手に入るかわからないミラクル交換など新要素を挙げればきりがない。全部遊びつくした訳では無いが、概ね好感触だった。

しかしとても残念な点が二点。

一つはストーリー。ポケモンと言えば主人公と一緒に旅立つライバルや友達が登場するのが定番だが、本作ではそれが4人もいる。行く先々で彼らとのイベントが起きるのだがそのせいでダサい悪の組織や謎の巨大男、伝説のポケモンといったストーリーに関わる面々とのイベントが薄く、今までで一番印象に残らなかった。ポケモンリーグでチャンピオンが出てきた時に本気で誰かわからなかったのは初めてだ。

もう一つは難易度。がくしゅうそうちの仕様が変わり育成がかなり楽になったが、これを見越した調整がされていなかった為か常に相手のレベルよりもこちらのレベルの方が上がりすぎ、ほぼボタン連打でクリアできてしまった。

育成面が充実し対戦参入ハードル下がったおかげで世間の評価は上々らしいが、それをやらない自分にとってはこれまでのポケモンシリーズでも最下位かもしれない…と思った作品。

クリア時のパーティ。本体の日付はおかしいけど面倒臭くて直してない。

 

19位. ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン (Steam / 2022年発売)

www.dqx.jp

MMORPGの完全オフライン化という珍しい作品。

当然だがオンライン要素を取り払っただけではなく

・マップサイズの調整

・戦闘、育成やアイテム作成といった基礎システムはオフライン最新作の仕様に変更

・パーティメンバーとしてNPCが仲間になる

などと色々な部分での調整がされているのだが、街中には各種ギルド施設やコロシアムなどといったオンライン要素の残骸が数多く残されたままとなっているのは何故なのだろうか。これらの施設はオフライン版では何の意味もない建物となっており、街を探索していてデカい建物を見つけて期待する→何もイベントはありませんでしたーというのを何度も繰り返してとてもうんざりした。

ストーリーは故郷の大陸を滅ぼした冥界の王を倒すために、何故か五つの大陸の諸問題を解決させられるという話なのだが、別に同一の敵を追っている訳でもないし全体的に統一感が無く、短編集をつなぎ合わせて無理やり1つの作品ですと言い張っているようなチグハグ感が感じられた。物語が二転三転し結末が読めなかったプクランド大陸の願いが叶うノートの話や、過去で意固地だったエルジュが他の種族と少しずつ絆を深めて成長していく所など、部分部分では面白い所もあったのだが…。

しかしドラクエは相変わらず買い物一つするにしてもわざわざ会話を挟んで何回決定ボタンを押させるんだというくらい面倒だし、メニューは全部白黒かつ文字ばかりで見にくいし、いつまでたってもこの前時代的なインタフェースは進化させないつもりなのだろうか。ポケモンやFFを見習ってくれ。

 

20位. ドラゴンクエストI・IISFC / 1993年発売)

www.jp.square-enix.com

国民的と言われているらしいRPGの1、2作目のリメイク。

大昔にプレイし、IをクリアしてIIが難しくてクリアできなかった記憶があるのでリベンジ。相変わらずIは自力でクリアできたが、IIはちゃんとメモをしながらプレイしていたにもかかわらずハーゴン神殿で詰み、攻略サイトに頼ることとなった。いや流石にあれはわからんだろう。

ストーリーやシステムについては元がファミコンという事で今基準で考えるとかなりショボいので特に語ることはない。

 

21位. ヒカルの碁3 (GC / 2003年発売)

同名の囲碁漫画のゲーム化第3弾。

プライムビデオで何となく見たヒカルの碁*13がかなり面白かったので、それに影響されてプレイ。

アドベンチャーモードのストーリーにまず驚き。時系列としては佐為が消えてヒカルが塞ぎ込んでいる所から始まり、佐為が新たな憑依先として主人公(プレイヤー)を選んで復活し、葉瀬中→院生→プロという原作通りの流れでキャラ達と対戦していき実力を上げ、ラスボスとしてヒカルと対戦してヒカルを立ち直らせる*14という流れで終わるのだが…。

コンセプトとして原作の追体験をやりたいというのはわかるが、普通に主人公をヒカルとして原作のストーリーをそのまま体験するんじゃ駄目だったのだろうか?読者にとって衝撃的だった佐為の消失というイベントの後、直ぐに他の人に憑依して復活しました~というのは流石に導入からして無理があるのではと思う。佐為が消えた後のヒカルの後悔は一体何だったんだ。それにラストのヒカルが立ち直る原因となった一局も、佐為から受け継いだものをヒカルが自分で見つけて吹っ切れるという所が良かったのに、その相手を佐為(が憑依した主人公)がやるというのは台無しじゃないのか。原作を知らない人がやっても意味が解らないし、知っている人がやったら怒るだろう意味不明なストーリー。

また囲碁部分についてもAIの思考速度が高速である事をやたらと売りにしているが、3Dを使った演出や良い手を打つたびに長ったらしいエフェクトが出るおかげで試合のテンポは結局悪い。まぁストーリーを追いながらちゃんとした対局ができる点は良いし、初心者のための定石講座や問題集、原作ファンの為の棋譜集などがついていてるのは「りゅうおうのおしごと*15」にも見習って欲しい。

*1:未だにオープンワールドゲームとして扱う者もいるが、公式は本作の事をオープンワールドとは一言も言っていないし、自分も違うと思う。理由としては後述するリニア型のストーリー進行を採用している点が大きい。また円卓やファルムアズラ、ミケラの聖樹のように地続きでなくローディングを挟まないといけないステージが幾つもあるという点からしてそもそも完全シームレス化はされていないという所を踏まえても、オープンワールドとは言えないだろう。

*2:サン・ムーンには登場せず、ウルトラサン・ムーンにのみ登場するらしい。

*3:原作ポケモンでいう所のポケモンジム

*4:原作ポケモンでいう所の四天王

*5:バランス調整の為に多くのTCGで見られる、強力なカードに対しデッキに入れられる枚数に制限をかけるルール

*6:ドラクエのMP制と同様

*7:やり込み要素は増えたようだが、全くやっていないのでわからない。

*8:こちらはBランク相当の良作。

*9:一応黒幕は存在するが、かなり唐突に正体を現し、戦うイベントも1度だけ。

*10:2022年末時点ではオンライン野良で4人パーティを組むのがかなり大変。

*11:以降のテイルズシリーズでも採用

*12:ターン終了時に全ての魔物が受けたダメージを回復する効果を持つカード。これがあると毎ターン魔物1体につき1回、実質ノーコストで術を受けられる。

*13:残念ながら2022年末で定額見放題から外された。

*14:つまり原作で伊角がやった役を代わりに主人公がやるということ。

*15:去年の記事参照

2021年にプレイしたゲームの紹介・感想

Aランク<心に残り続けるであろう傑作>

1位.天ノ少女(Windows(R18) / 2020年発売)

www.gungnir.co.jp

ゲーム紹介

戦後の昭和を舞台としたミステリーアドベンチャーゲーム。前作の”殻ノ少女""虚ノ少女"からなる三部作の最終作。

主人公は探偵。婚約者が連続殺人の犠牲になった事をきっかけに警察官を辞め、その犯人を捕まえるため、そしてその犯人が伝染させた狂気の連鎖を終わらせるべく"殻""虚"に続いて猟奇殺人事件を追う事になる。

パラノイアという言葉がシリーズのキーワードとなっていることもあり、狂気に囚われた人間や凄惨な変死体などが頻繁に出てくるので三作通じて陰鬱とした雰囲気で物語は進んでいく。

推理部分は本格的な推理ゲームほど込み入っておらず、一般的なアドベンチャーゲームと同じように選択肢を選びながら進めていく流れがメインであり、難易度はそれほど高くない。ただし要所要所では2~30ある証拠品や人物リストから組み合わせで回答を選ばないといけない箇所があり、総当たりではなく頭を使わないと進めないようになっている。

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こんな感じで手帳を見ながら推理するパートが何回もある

アドベンチャーゲームとしては珍しくもないマルチエンディング方式だが、選択肢を間違えると事件の全貌が明かされないエンドとなったり、重要人物が死んでしまってバッドエンドになったりと、一般的なギャルゲーのようにヒロインによって物語が分岐するのではなくあくまで事件の捜査状況によってのみ物語は分岐していく。

感想

・シリーズ完結作として最高のカタルシス体験を味わえたストーリー

ストーリーは本当に面白かった。「え?ここからどうなるの?まだ終わりじゃないのか?…まだか?まだか…え?まだ続くの?」という感じで最後の最後まで楽しませてくれた。

前作の"殻""虚"では結末がかなり悲惨であったことから、続きが気になりつつも次作ではこれ以上の悲劇が起きるのでは?と怖怖と過ごしていたが、理想に近い終わり方だったので非常に満足。

オーラスエンドの最後では全ての始まりのシーンとリンクするかなり憎い演出で締めくくられており、これまでの悲惨な物語からの解放感、そして一作目をプレイしてからの思いが溢れてきて少し泣いてしまった。

前作までのエンドもおそらくこの結末を計算してのものだったと思うが、これ程すっきりと気分の良い読後感を味わえる作品は久しぶりだった。

・美しいグラフィックと音楽

本作は絵画がストーリーの主軸となっているためなのか、これまでの前二作とは違って水彩画のようなタッチでCGが描かれている。一枚一枚がとても美しくそしてどこか儚げな雰囲気を持っていて、度重なる離別によって疲弊している主人公や、退廃的な世界観にとてもマッチしているように思う。

音楽もとても良かった。シリーズ通してだが主張していないのに耳に残るというアドベンチャーゲームとしてちょうどいい塩梅の音楽。だけどオーラスエンドの曲は…もう感動…

・肩透かしの展開

これは残念な点になるのだが、散々引っ張った謎が実は大したことが無かったという肩透かしの展開がいくつもあったのは少し不満だった。

殺人事件を捜査している中でいかにも意味ありげな謎が出てくるのだが、それが偶然解決した上に実は事件には直接関係なかったり。

前作の”虚”のラストでとある重要登場人物が失踪したのだが、前作で残った最大の謎であったその人物の行方や目的が、かなり拍子抜けする内容だったり。

推理ゲームとして色々考えていたただけに、これは少し萎えた。本当はもっと大きな展開にするはずだったのに途中で放棄した…というのは流石に考えすぎだろうか。

総評

雰囲気がとにかく自分の好みのど真ん中だったので大好きなシリーズ。

これまでの2作も面白かったが、一番を挙げるならこの天ノ少女。本作はこれまでの悲しい展開に心痛めたプレイヤーに対するご褒美とも言える内容になっており、最終作としての物語の締め方が本当に良かった。

前作の発売から約8年弱、一時は完結されるのか懐疑的になったこともあったが、待っていて良かったと思える作品だった。

 

2位.白昼夢の青写真(Windows(R18) / 2020年発売)

laplacian.jp

ゲーム紹介

少し変わった構成のアドベンチャーゲーム

ゲームが始まるとまず特に説明無く

・現代が舞台の、シリアスな愛憎劇(CASE-1)
・中世が舞台の、身分を超えた純愛悲劇(CASE-2)
・近未来が舞台の、ギャグありの青春会話劇(CASE-3)

という3本の全く異なるストーリーをプレイする事となる。

しかしオムニバス形式のゲームかと思いきやそういう訳ではなく、それら3本のストーリーは全てとある人物が見ている夢であるという事が途中で示されており、全ての夢を見終わった後、夢を見ていた人物の正体は誰?何故夢を見ていたのか?夢に出てきたヒロインの見た目が似ているのは何故?…と言った謎を本編ストーリー(CASE-0)で解き明かしていく…という構成になっている。

CASE-0はこれまでのエピソードとは全く異なる雰囲気のSFストーリーで、いわゆるセカイ系という奴。令和にもセカイ系が生まれているのにはなんというか感動すら覚えるが、エヴァが終わってもセカイ系は生まれていくんだろうなぁ。

感想

・ストーリー:CASE-1~3

特にCASE-1が一番良かった。
設定的には3つのCASE中一番地味だと思っていたが、教師と生徒の禁断の関係(しかも2X歳差)、昼ドラ顔負けの愛憎劇、次第に狂わされていく主人公、などとかなり見どころが多くて終始続きが気になりプレイの手が止まらなかった。加えてこのシナリオはこちらの予想(いわゆるお約束展開)を裏切るようなシーンが多々あったのが痛快で好きだった。
CASE-2,3もCASE-1程では無かったが作品全体を通して単純に文章や物語構成が上手くてどのシナリオも面白かった。ロープライスの単作で出しても全然評価されたレベルだと思う。

・ストーリー:CASE-0

とにかく伏線とその回収に尽きる。

序盤から巧妙にいくつもの伏線が張られており、後半でそれが一気に繋がってきた時はそういう事だったのか…!と強く感動したのを覚えている。

このゲームが格好いいのは、そういった多くの伏線回収についてゲーム内では一切そのことに触れなかった所。ゲームによっては伏線回収時に回想シーンを挟んだり、「そうか、だからあの時…」みたいな解説セリフを入れたりするが、それは気付いていないプレイヤーに気付かせることができる反面、気付いている側からすると諄いと感じてしまう。それだけ自信があったのかこだわりがあったのかわからないが、演出に無駄が無く綺麗に纏まっていた。

正直、00年代からのオタクである自分は「いまさらセカイ系か、正直やや食傷気味だなぁ」とかなり思ったが、話が面白かったのでプラマイで微プラスぐらいの評価。

・登場人物の少なさ

一番の不満点はサブキャラクターが少なすぎる事。
各シナリオともキャラクターはストーリーを回すための最低限の人数しか登場しない。

人との交流が少ないCASE1,3あたりはまだいいのだが、CASE0や2ではその違和感が顕著に出てくる。
地の文では人が大勢いることが表されているが台詞が表示されるのは精々1人(か2人)なので、本当はもっと人が多くて賑やかなんだろうが、すごく人が少なくて寂しい世界のように感じてしまう。

総評

色々書いたが結局はCASE-1のヒロインの凛ちゃんが可愛かったことが最大のハイライトだったかもしれん。

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可愛いね

 

Bランク<プレイしてよかった良作>

3位.ラングリッサー ドラマティックエディション(SS / 1998年発売)

ゲーム紹介

PS1でリリースされたシミュレーションRPGラングリッサーI&II」をセガサターンに移植し、新たなルート分岐を追加した作品。*1

ストーリーは手にした者に無限の力を与えると言われている聖剣ラングリッサーをめぐって繰り広げられる争乱の物語。「I」は一本道だが、「II」では選択次第で大きく分けて6種類のルートに分岐するマルチシナリオとなっている。この時代のRPGの中ではボイスもかなり喋る方であり、物語の要所要所ではセル画のアニメムービーが挿入されるなど、演出も凝っている。

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セガサターンなので画質は良くないがアニメが流れる

美少女キャラが前面に押し出されている見た目に反してかなり硬派なSRPGで、歩兵・槍兵・騎兵などのユニットごとの相性や、地形による有利不利、中心となる指揮官ユニットとそれをサポートする傭兵ユニットの配置関係などを緻密に考えないと序盤でもあっさりゲームオーバーとなる。マップクリア制システムの為レベル上げによる強引な突破も不可能であり、経験値配分も考えながら進めていかないと場合によっては途中で詰んでしまうことも。*2

また、エンディングではクリア時点で自軍に所属するユニット全員にそれぞれその後どういう人生を送ったかというエピローグが語られるのだが、一度でも倒されたユニットはその内容がバッドエンドとなってしまうので、全員グッドエンドを目指そうと思うともっと難しい。その分やり応えは十分。

感想

・やり応え十分の戦闘

前述したようにこのゲームは結構難しかったが、難しいと言っても運要素や初見殺し的な理不尽さがある訳では無く、しっかり考えればクリアできるようになっているので攻略しがいがあった。

例えばIの再序盤で主人公達よりもパラメータが一回り強い敵軍の幹部と戦闘するステージがあり、初めは負けイベだと思ったくらい圧倒的にやられてしまったのだが、何度かトライした結果傭兵を囮にして敵を弱い地形に動かしてから相性のいいユニットで取り囲んでやれば意外にあっさり倒せたりしてなるほどよくできているなと思った。

その後も遠距離魔法を使うユニットに集中砲火されるステージや、味方ユニット同士が分断されるステージなど厄介なステージは沢山あったが、詰め将棋的な感じでクリアするまでの戦略を考えるのが楽しく、2作合わせて100ステージ弱あったにもかかわらず最後までダレることなくクリアできた。

・全く異なる展開が楽しめるマルチシナリオ(Ⅱ)

ラングリッサーⅡは下記の勢力が三つ巴で争いあう物語となっている。

・「レイガルド帝国軍」

聖剣、そして魔剣の強大な力を持って大陸を統一することにより戦乱の時代を終わらせることが目的。

・「闇の軍勢」

人間が支配する世界を良しとしない魔族の軍団。魔族が支配する世界を作るために聖剣と魔剣を求める。

・「光輝の軍勢」

古から闇の軍勢と戦い続ける人間の軍団。帝国がやろうとしている力による支配にも対抗するため、聖剣と魔剣を求める。

主人公エルウィンはゲーム開始時点ではどの軍にも属していない放浪の身で、シナリオの合間合間に挿入される選択肢や、戦闘中の行動によってどの軍に属するかが変わってゆく。フローチャートアドベンチャーゲームのようにストーリーが分岐していき、ルートによって共通の展開はほぼなく、全く異なる結末を迎えるので周回プレイも楽しかった。

そして更に上記のどの軍とも手を切るという「独立軍」ルートという選択まであるのだが、このルートのとある結末に結構な衝撃を受けた。

どうしようもない選択を繰り返した結果、エルウィンは確固たる意志も無いまま手にした聖剣と魔剣の力に溺れるあまりこれまで出会った人物全てから敵とみなされるようになってしまい、最後はバッドエンドとしか思えない終わり方をするのだが、光輝ルートでの正義漢っぷりとの落差は一見の価値あり。

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エルウィンの発狂シーンはビビる
総評

古いゲームだがシミュレーションRPGとしてのやり応えもあり、アドベンチャーゲームのように展開するストーリーも面白くてとてもいいゲームだった。しかし全ルート合計で約100ステージ、難しいステージでは攻略に2時間もかかったりした事もあってかなり疲れた。もうしばらくSRPGはいいかなと思うくらいには…。

数年前にSwitchでリメイクが出ているのだが、そちらはどうやらかなり評判悪いみたいなのでそれをプレイするくらいならこちらを推したい所だが、プレイ環境がどうしてもねぇ。

 

Cランク<誰かに勧めるほどではない>

4位. ドラゴンクエストVIII3DS / 2015年発売)

www.dragonquest.jp

最早説明する必要もないであろうRPG。ナンバリング中オンラインを除けばプレイしたことがないのがこれだけだと気付いたのでやってみた。

これまでのドラクエシリーズと比べるとストーリードリブンな面がより強調されており、自由度はほとんどない代わりに発生するイベントはかなり多くなっている。まぁそれ自体は良いのだが、終始主人公たちがやる事なす事敵の後手後手で上手くいかないこと続きなのがどうも盛り上がりに欠ける。お約束として魔王を復活させないといけないのはわかるが…。

システム的には錬金システムで強いアイテムを作る組み合わせを探すのが楽しかったり、定番だった職業システムを完全廃止してスキルポイントシステムになって自由度の高い育成ができるようになったりといった点が良かった。と言ってもどちらも以前にプレイした11に受け継がれていた部分なんで、新鮮味は無かったが。

3DS版限定の裏ダンジョンについては滅茶苦茶やり応えがあって面白かった。

 

5位. ポケットモンスター ブラック (DS / 2010年発売)

www.pokemon.co.jp

これも最早説明する必要もないであろうRPGポケモンは10年以上前にやった第4世代で止まっていたのでやってみた。

ポケモン、3VS3のバトル、わざマシンの仕様が変わって便利になったりという変化はあったが基本的には第4世代のマイナーチェンジという感じが強くてそこまで大きなゲーム体験の変化はなかった。期待していた以上でも以下でもないという感じだった。

殿堂入りしなくてもエンディングが流れたのは少し驚いた。

 

6位. Inscryption (Steam / 2021年発売)

store.steampowered.com

カードゲームとホラー要素もある謎解きアドベンチャーが融合したゲーム。

3章立てのストーリーであり終始カードゲームをプレイすることになるのだが、
1章:ローグライクでのデッキ構築
2章:一般的なパック開封&デッキ構築
3章:既定の初期デッキから、カード自体を改造して性能を強化
といったように、基本となるルールは同じながらも同じことの繰り返しにならないよう章ごとにシステムを変えることで、最後まで飽きさせない作りになっている。

カードゲーム要素は上記したように工夫はされているものの、ボリュームが多い訳でもなく難易度も低めである為初見でも1~2日程度でクリアできるだろう。単純にローグライクをやりたいならSlay the Spireを、構築がやりたいならMTGAなどのDTCGをやった方が楽しめる事は間違いない。

このゲームを高評価たらしめているのはもう一つの要素である謎解きアドベンチャーの部分だと思う。
1章のローグライクをプレイしていると、途中からプレイヤーはカードゲームを離れて部屋の中の捜索をすることができるようになる。そこでパズル付きの金庫や黒塗りのルールブック、意味深な像や喋るカード…と言った謎を見つけていくうちに、プレイヤーはすぐにこのInscriptionがただのカードゲームではなく、後ろに大きな物語が存在する事に気づく。
そして謎解き要素は2章、3章とエスカレートしていき、時にはホラーやメタフィクション的な要素も取り入れながらプレイヤーを悩ませ続け、カードゲームと謎解きをひたすら繰り返しながらプレイは進んでいく。
3章をクリアしてエンディングを見届ければ一応ゲームは終わりとなるが、このゲームはヒントだけを散りばめて明確な答えを提示せず、「後はプレイヤーが考えてね」というタイプの終わり方をするので、クリアした後もプレイヤーの謎解きは続いていくようになっている。

しかしゲーム中で語られなかった謎がかなり多いので普通にクリアするだけでは消化不良。というのもこのゲームいわゆるARG要素が存在し、ゲーム外でその謎のヒントが得られるようになっていたのだ。
もっとも、発売からだいぶ経った現在では新しい情報発信も無くなったようなので、今からそれを楽しむのは難しいと思うが…。

ゲーム全体を通してみれば謎解きアドベンチャーがメインであり、人によってはゲーム後のARG要素や考察に最も時間をかけて楽しんでいる事だろう。しかし「話題になっているカードゲームをプレイしよう」くらいの心持ちで始めた自分にとっては、それに対する裏切りが悪い方に働いてしまったというのはあると思う。

 

7位. 采配のゆくえ (DS / 2008年発売)

www.gamecity.ne.jp

関ヶ原の戦いの一日を舞台にしたアドベンチャーゲーム。史実では味方の裏切りなどにより敗走することとなった西軍の石田三成が主人公で、史実とは異なる西軍の勝利を目指すという話。

ゲームは情報を収集する"戦略パート"と戦いを進めていく"合戦パート"を交互に繰り返すが、この流れやシステムが逆転裁判にかなり似ている。インタフェースもどことなく逆裁に似ていて故意犯だと思うが、一応丸パクリではなく合戦パートにはパズルのように武将に指示を与えて戦闘を進めていくというオリジナルのシーンもある。

キャラクターも逆裁っぽくデフォルメされていて特に西軍のキャラは皆良い味を出しているのだが、それに比べ東軍のキャラの印象は総じて薄く、大将である徳川家康も強キャラ感を出していた割に最後はあっさりやられたのでそこらへんがイマイチ。

ボリュームも少なく難易度も低かったが、腐っても逆裁フォロワーなんで一応それなりの面白さはある。

 

8位. さくらの雲*スカアレットの恋 (Win(R18) / 2020年発売)

cabbage-soft.com

大正時代を舞台にしたミステリADV。2020年から100年前にタイムスリップした主人公が出会った探偵の助手として様々な事件を解決していき、最終的にはタイムスリップの謎を究明し未来へ帰るという感じの話。ミステリ要素を期待してプレイしたがミステリパートといえる部分は物語中盤の一部しかなく、かつその事件の設定も無茶苦茶だったので期待外れだった。

しかし終盤で判明した主人公の正体にまつわるイベントと、それに関係するゲーム全体に仕掛けられていたトリックについてだけは本当に驚かされて思わず唸ってしまった。

ただその後の解決編ではラスボスの悪事の理由もその倒し方もありきたりで興醒めだったので、折角上がったテンションも最後に下がって終わったという感じ。面白い部分は一瞬だった。

 

Dランク<遊べなくはないが、つまらない>

9位. 魔族の大地 TDQⅡ (X68000 / 1992年発表)

かなり昔に作られた同人ドラクエクローンゲーム2作目(1作目も下で紹介)。DQ8をクリアした後無性に昔のドラクエが遊びたくなったのでプレイ。

グラフィック、モンスター、呪文、音楽は原作のものを流用しているのでその辺りは本家ドラクエっぽい雰囲気は出ているが、街や人といった固有名詞のネーミングセンスや明確なテーマ性を持った結末は本家っぽくなく同人ゲームっぽいなと言う感じ。FC時代のドラクエのバランスやシステム的に不便な所の多くをそのまま受け継いでいるので、今基準だと決して遊びやすくはない。

TDQ2の特徴は仲間を集めながら進んでいく所で、本家DQ4のように多数のキャラクターが仲間になる。まぁ発売時期的にインスパイアはされているだろう。本家とは一味違う勧善懲悪ではないストーリーやステータス画面での顔グラフィック表示などといったオリジナル要素も盛り込まれている。

無料で配布されているが現代PCで遊ぶまでの手順が少々面倒なので、そのハードルを越えてまでやる価値があったかというと…正直無い。昔のドラクエが遊びたい欲は一応解消されたので良いか。

 

10位. 永遠のフィレーナSFC / 1995年発売)

百合カップルである自分たちを変態だと言っているシーン。今だとクレームが入りそうだ。

小説が原作のファンタジーRPG

奴隷として育てられた主人公フィレーナが、かつて帝国に滅ぼされた国の王女であるという事を知り、祖国復興の為に旅に出るという感じの話。女性主人公かつ恋人が女性という、主人公達がいわゆる百合カップルであるという設定はこの年代のRPGとしてはかなり珍しい。

原作モノということでストーリードリブンな開発がされたのであろう、ストーリー以外の面では当時流行っていたRPGから拝借されたような印象が強い。バトルのシステムやウインドウ構成、町やフィールドの感じはかなりFF4,5に似ているし、武器を複数装備して戦い武器の種類によって使える特技が変わるという点はロマサガと同じだ。

あと公式の宣伝文句で"2元中継"と謳っているようにかなりの高頻度で敵サイド(帝国)の視点が入るのが特徴。問題なのはこの敵サイドのキャラクターで、フィレーナと対峙するのは帝国の「黒い悪魔」と呼ばれる集団なのだが、20人以上居るにもかかわらずグラフィックが全員同じ、かつ名前もバラバ1、バラバ2、バラバ○○…という、完全にFF9の黒のワルツ方式である*3
黒のワルツは3人だし序盤の中ボスだからまだ気にならないが、フィレーナの敵は最後までこいつらであり、バラバ2を倒すと次にバラバ14が、バラバ14を倒すと次はバラバ8が…と、倒しても倒しても全く同じ外見の敵と戦わなくてはならない。これではあまりにも面白味が無いし、敵サイドの動きを見せられても誰が何をやっているのか全然わからん。まぁ、ラスボスは流石にこいつらでは無く意外な敵だったのでまだ良かったが…

ストーリーに関しても正直微妙である。フィレーナは相当の大儀を成し遂げたにも関わらず終わった時の感動がここまで薄かったのはボリュームの少なさが何よりの原因だろう。原作小説9冊分のイベントはなかったと思うので容量上の都合かかなり色々と端折られたと思われる。

ゲームが止まるバグも多発するし怪電波のようなBGMも多い。
原作ファンでフィレーナ関連なら何でもやりたい人でもなければプレイする選択肢に入れる必要はないと思うゲームだ。

 

11位. 神聖紀オデッセリア (SFC / 1993年発売)

神話をモチーフにしたRPG

ストーリーがと~にかくややこしい。ギリシャ神話やインド神話といった様々な神話を一つの物語に盛り込んだので登場人物や登場地域も多く、かつ3つの時代をタイムトラベルする物語なので今何が起こっているのかをちゃんと把握するのが本当に難しい。自分はプレイしながら適宜ネット上の解説やプレイ日記を見て何とかついていったが、そうしないと何が何だかすぐわからなくなる。固有名詞の多さも凄まじく、正直脳のリソースをストーリーを理解することに使いすぎたので面白いと感じられなかった可能性はある。

システム的な特徴としてはレベルアップ時に上昇する能力を完全に指定できるという物があったが、魔法が強すぎるバランスだという事に気づいてから全員魔法特化ステータスにすることで後半ヌルゲーになって戦闘すらつまらなくなってしまった。

色々と尖った所が多い作品なのでもしかしたら合う人には合うのかもしれないが、万人受けする作品でないのは確か。

 

12位. T-DRAGON QUESTX68000 / 1991年発表)

概要は上記TDQ2と同様。

ストーリーは本家DQ1のような自由度の高さでイベント数は少なくクリアには大して時間はかからないが、まあとにかくバランスが悪い。

本家DQ2の駄目な点をリスペクトしたかの如く序盤から終盤まで即死エンカウントのオンパレード。これに比べると上記TDQ2は大分マシになっている。

オリジナルのドラクエに対して付加された要素というのもほぼ無くてはっきり言って残念な出来だが、商用でもない同人ゲームの1作目という事でそれはしょうがないと思う反面、今のようなゲーム開発ツールもない時代に作者はこれをほぼ一人で完成させたというのだからその点はただただ尊敬する。

 

Eランク<苦行>

13位. りゅうおうのおしごと! (Switch / 2020年発売)

www.entergram.co.jp

同名のライトノベル及びアニメのゲーム化作品。
キャラゲーとしても将棋ソフトとしてもかなりお粗末な出来である。

"アドベンチャーパート"ではアニメ1クール分のエピソードをアドベンチャーゲーム形式で追体験できるのだが、わずか2~3時間で読めてしまう程度のボリュームしかない。しかも信じられないことにボイス収録すらほとんどされておらず、キャラは全然喋らない。定価7700円のゲームでこれは…

一応メインの話とは別におまけ的に描きおろしのオリジナルストーリーもあるのだが、公式HPによるとその内5/6は原作者が執筆していないらしく…。本編よりも全然つまらなかったのでそちらは半分も読んでいない。

ではもう一つのウリである将棋パートが充実しているかというと、そうでもない。

将棋パートでは10種類のCPUと戦う事ができるが、ただそれだけ。ファミコンのゲームかと思うくらい本当にそれだけしかない。同じswitchの将棋ゲームで言えばこれ以前に「棋士藤井聡太の将棋トレーニング」「遊んで将棋が強くなる!銀星将棋DX」などが出ているが、あちらには将棋の基礎を学べる機能・棋譜の保存や再生機能・レーティング戦・AIによる分析機能などなどが搭載されており、将棋を遊ぶ上で本作が優れている点は何一つない。おまけにこれらのソフトは定価4~5000円程度である。

苦行というより虚無。アドベンチャー部分が充実していて将棋はおまけとか、あるいはその逆ならまだ良かったのだが、共倒れしているせいで本当に褒められる所がないゲーム。これがネットで殆ど叩かれていないのが不思議だったが、単純に誰も買っていないんだろうな。

*1:原作のIとIIはメガドライブ

*2:難しいと言っても原作であるMD版よりはいくらか難易度が下がっているらしい。ルートによって難易度は変わるが、大体ファイアーエムブレムシリーズのルナティックよりは全然簡単でハードと同じか少し難しいくらいだと思う。

*3:一応言っておくと黒のワルツの方が後発である